「魔女の瞳と東吾妻」 
    2003.07.20  2005.07.03 
     2011.07.16

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 福島市の西にそびえる吾妻の山並み。そこを縫うように登って行く磐梯吾妻スカイラインは東北地方の山岳観光道路としてあまりにも有名です。八幡平のアスピーテラインは無料になりましたが磐梯山周辺の四つの山岳道路はまだ有料のままです。スカイラインを通ってみるとわかりますが、火山地帯の急傾斜地などを通るためその道路維持には多額の費用を要するためと思われます。
 
梅雨時真っ最中にでかけました。この日の福島市のスポット天気予報では午後3時だけが晴れマーク。他は雨と曇り。予報は当たるでしょうか。
 
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 小雨の福島市街を昼過ぎに出発。南西の風でしたので浄土平のあたりが風の峰境になっていました。車はマンボウ君ですのでゆっくり上がって行きます。前に観光バスがいたのでそれと大差無いスピードでしょうか。しばらくは風雨と霧の中の登りでしたが、この峰境に来ると急に雲が切れました。

 浄土平を過ぎて、次の右側にある兎平駐車場に車を停めて歩き始めます。一番高く見える山が一切経山です・・・と思っていたのですが、本当の頂上はこの山の陰になっています。
 たくさんの観光バスが並ぶ浄土平を見下ろすように登って行きます。下からは見えなかった噴火口もあります。峰を境に北側に雲がかかっているのがわかります。
 足元は火山レキで滑りやすく意外と疲れます。

 ←このコースはまだ火山の生成から時間が経っておらず、森林化が進んでいないため見かける花もわずかです。
 この山の複雑な地形が見えてきます。向こうに下りコースで通る予定の鎌沼。
 ↓そしてこれが今日の目的、魔女の瞳と呼ばれる一切経山の五色沼です。同じ福島県内に五色沼と呼ばれる所は裏磐梯にありますが、あちらは数十の湖沼群が磐梯山の爆裂噴火によって形成された所で、沼一つ一つの色合いがアルミイオンなどの成分で違って見えるため
その名があります。 それに対しこちらは一つの沼が光線などで微妙に色合いを変えるためこの名があります。
 居合わせた家族連れのお父さんに頼んでシャッターを切ってもらいました。この位置から沼までは急な斜面になっていて相当な距離があります。沼に注ぎ込むように霧が流れ続けます。
↓この稜線をたどると吾妻連峰を西に向かい、学生の頃寮の窓から毎日眺めていた西吾妻山の方へ向かいます。いつか縦走してみたいものです。

 そして下りは鎌沼のほとりを回ります。ここも旧火口に水がたまって出来た沼ですがいくらか植物の進出がおこっています。
 水辺にはまばらな水生植物とずっと浅瀬の続く三日月型の水溜り、極楽があるとすればこんなところかなと思うような場所です。

 稚児車も花の時期は過ぎて、「くるま」の季節になっています。
 今回は梅雨の真っ最中という時期にも関わらず、局所天気予報を信じてあたりでした。車に戻ったとたんにまた大雨が降りだしました。
 観光道路からわずかの時間でこれだけの景色を楽しめるので貴重な所です。もっと周辺も歩きまわってみたいと思います。

2005年東吾妻山へ
 2003年に引き続き磐梯吾妻スカイラインへ。この日はよる9時近くに浄土平駐車場に着きました。中腹はすごい濃霧。センターラインの点線が、1本は見えますが、次の2本目が見えません。ゆっくりゆっくり(このHPのタイトルみたいですが)高度を上げてゆくと、突然霧が晴れて満点の星空! ここの駐車場には本物の天文台もあるのですが、夫婦で天然のプラネタリウムを味わいました。 翌朝も梅雨時にもかかわらず快晴です。
 快晴のスカイライン浄土平駐車場。バックはおととし登った一切経山。少し移動して兎平駐車場に車を置いて歩き始めます。
 一昨年、下りに使った鎌沼への道を、このコースではきつい坂ですが登ってゆきます。道端には色とりどりの小さな花たちが待っていてくれます。
 このコースは右回り、左回りどちらにしようか迷うところですが、最初にきつい坂のある反時計回りにしました。
 中腹にはまだ雪田も残っています。これから登る東吾妻山が鮮やかに見えます。上空には巻雲が出てきました。
 90分ほどで東吾妻山頂に到着。観光客がひしめく浄土平や吾妻小富士のあたりも景色は悪くないのですが、私の判断基準では、自然を楽しむには人が少ないことも大切。東吾妻山の頂上には私たちのほかに1組の夫婦(?)がいるだけでした。う〜ん。満足。
 上空には巻雲が少し。そして眼下は雲海。向こうにはこの次に上ろうと考えている西吾妻の山並みが望めます。
 この左の方には磐梯山が雲におぼれそうになりながら山頂のあたりだけ見えます。
 いまは梅雨時のはずですが・・・答は下界に下りて行くとわかりました。この雲の下は霧雨や小雨で、ふもとは普通の梅雨空だったのです。なんだか得した気分です。
 やや急な木の根の斜面をたどると景場平に出ます。湿原や池塘の中を木道でたどります。 ワタスゲやコバイケイソウが見ごろです。
 景場平から30分も下るとスカイラインに戻ります。横切って2分ほど行くと鳥子平という湿原に出ます。ここはこぢんまりしていますが、配置が美しく密度の高い景色を味わうことができます。車での通りすがりでもほんの少し歩くだけで出会えるこの湿原はお勧めです。
 7時半ころに出発して、お昼前に一周して車に戻りました。車内で昼食をとり、しばしお昼寝をして、ふもとの福島別荘まで下りてきました。
 あまりがんばらなくても、人の少ないゆったりした景色をめぐることのできる、いいところです。


2011年 久しぶりで 魔女の瞳へ
 今年の福島は放射能に翻弄されておりますが、福島別荘のあたりではほぼ通常の生活を皆さん送っておられます。
 この夏はあまり遠くへ出かけるプランは立てませんでしたので福島市近郊のスカイラインから一切経山・五色沼(魔女の瞳)展望を目指します。
 東北道を南下してナビで浄土平をセットすると、福島西インター出口を示しましたが、福島飯坂インターで降りてフルーツライン?を通るのが近道です。
 スカイラインはこれまでも夜間は無料だったのですが、ちょうどこの日から日中も全面無料化になったところです。

 麓のミニストップに寄って朝食のおかずと、ソフトクリームを買って、とりあえずソフトだけをいただきます。吾妻小富士の辺りは霧がかかっていますが、晴れてきそうな雰囲気です。


 今回は日程に余裕がありますので、いつもは駆け足で上がる坂も、ポイントに立ち寄りながら行きます。大きな橋の展望台で散策します。近くに古い橋の橋台がありますので、今渡っている橋はスカイラインとしては2代目なのでしょうか。
 橋の上から谷底を望むと朝日を背負っているので橋の影がかかっています。


  ↓クリックで動画


 浄土平の駐車場
にやってきました。霧は晴れてよい天気です。夏休みのハイシーズン週末で、今日から道路も無料化なのですが、お客さんはあまりいません。バスは定期観光バスしか見つけられませんでした。先の放射能事故の影響でしょうか。
 でもこのあたりの自然の価値そのものに変化があるわけではありません。さわやかな空気の中で朝ごはんをいただいて、歩きはじめまでに胃の消化時間をみこんで周辺の散歩をします。
 おなかがこなれたところで、ゆっくりと歩き始めます。浄土平の中をわざと遠回りした遊歩道を通って一切経山に向かいます。標高差は約400mくらいあります。
 直登コースは噴火活動が活発化して噴煙が上がっているため立ち入り禁止になっています。ですので鎌沼近くの分岐から登ることになります。


      ↓ 禁止の分岐
 道沿いでは石楠花やツマトリソウが見ごろになっています。分岐から少し行くと避難小屋があります。前回来た時には無かったトイレが設置されています。

右下写真はトイレの説明版と、ROで手押し洗浄ポンプ

↓ 右手前がトイレ。奥が避難小屋。ROで内部。内部は土間の周囲にベンチシートがあるだけなので宿泊利用にはシートを持参するのがよいかと思います。


 一切経山の
頂上が近づいてくると右側に自然に出来た段々畑のような地形が見えてきます。想像ですが風・雨・雪・植物の適正・土質・地形・・・などの条件が揃って何百年か経つとこうなるのではないでしょうか。 同じ地形を鳥海山のこのあたりで見たことがあります。たくさんのとんぼが飛んでいます。この時期、避暑に山に集まっています。

 ↓ 一切経山の頂上はハゲ山の最高点に巨大なケルンが積んであるような感じです。
↓ 五色沼・別名「魔女の瞳」の部分拡大。ROで全景です。トンボや蝶も飛んでいます。

 山の斜面に腰掛けて西吾妻山の方へ向かう縦走路を望みます。そして目の前にある魔女の瞳に差し込む霧の流れや、湖面に映る雲の影が サーッと移って行く様子をゆったりと眺めます。
 皆さんも動画でしばらくご覧ください。

 右画像クリックで動画→ 
 浄土平から一切経山への登山道と五色沼の変化を眺められます。  

 ふたたび避難小屋の脇を通って分岐点から鎌沼を反時計方向に回ります。
 あまり水深のない(といっても数メートル以上はありそう)旧火口湖の畔にある木道をてくてくと歩いてゆきます。景色は少しずつ変わり、平坦な道の横には石楠花やわたすげが揺れています。 浄土平の名前が有名ですが、こちらの方がその名にふさわしい気がします。

 ここをクリックで動画です。
  つづく・・・