「裏岩手国体コース」 2002.7.27〜28
 出発点は田沢湖駅前バスターミナルです。 今回一人で釜石を出発してなるべく同じ所を通らないで縦走するにはどうしたらいいか考えました。 乳頭温泉の鶴の湯に車を置いて、予約したタクシーで田沢湖駅前まで戻ります。 5770円。定期バスで八幡平頂上バス停へ。1990円。釜石出発が午前4時半、八幡平発が11時半です。
                                       藤七温泉(右下)と岩手山が見えます。
コースに入って間もなく、モッコ岳が最初の目印になります。この山は縦走後半の曲崎山あたりまで振り返ることができます。 7/27 11:48 
  6月には白い花だった衣笠草も実になっています。
 
諸檜を下ると 庭園のような石沼  12:52 
 前諸檜を過ぎたあたり西側に見える沼.。左奥は明日通過予定の曲崎山  13:14 
 嶮岨森手前から見る岩手山。左に樹海ライン。わずかに雪渓が残っています。  頂上は13:43 
                               大深山荘直前の池塘
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八幡平から大深岳を通って八瀬森山荘に一泊、翌日は大白森を通って鶴の湯へ。 
             ※解説と詳細は最後に記載してありますのでご参考にどうぞ。
諸檜岳からこれから縦走してゆく関東森、曲崎山(右端)方面を望む。3人の登山者と出会う。  12:30 
 昨年お世話になった大深山荘。3パーティ、6人で楽しい山の夜をすごしました。昨年はここに荷物を置いて大深・源太ガ岳・大深湿原を回って一泊。翌日は松川温泉に下りました。剣ソ森までは登山地図にあるコースタイムに遅れまいとやや飛ばし気味に進んで来ましたが、ここで一気に逆転? 同じようなペース配分で歩いてもかなりの違いが出ることがあるので、自分の経験と地形から判断したタイムも考慮しなくてはなりません。 14:14              
                                             大深岳手前の分岐。    14:36
 中央には岩手大白森。縦走コースはその手前の峰沿いに所々の湿原を通って進みます。
                                        三ツ石方面と「国体コース」の分岐 14:56 
八瀬森への道を進むと、湿原が現れては消えます。ニッコウキスゲがそよいでいました。 複雑な形をした池塘を抱いたところもあります。(色の濃いところが水溜り)
               湿原のほとりに開くニッコウキスゲ と 石楠花
 今年は春が早く、チングルマも花が残ってはいません
振り返ると三ツ石・小畚・岩手山。 :15:34
林床のゴゼンタチバナ。そろそろ到着が明るい内に可能かどうか気になりはじめる。
1/25000地形図にある、1283m地点の湿原。位置を確認して、どうやら夕暮れには余裕を持って到着できそうだと判断。ここまでの補給は歩きながらと5分程度の休憩で済ましてきたが、初めて15分の休みをとる。 15:49
2日目はこちら
ここの湿原にはキンコウカがたくさん。
本日最後の通過目標、関東森。この前後は他と比べて笹がおおいかぶさっている。 16:41
 
本日最後の森を抜けると八瀬森湿原がひろがっていました。色とりどりの花が疲れを癒してくれます。まだ十分に明るい内に到着することができました。  冷たい流れでのどを潤します。   17:10
  
今日お世話になる八瀬森山荘。私が最後の到着で、先には2+2+4人のパーティがいました。平成2年改築なのでまだ立派な小屋です。



2日目につづく

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 せつめい

 
私が山歩きをするのは年に2〜3回だけです。ですから本格的に登山をしている方からみれば遊びみたいなものかもしれません。でもここに書いてあることは、私のような歩き方をする人の参考になるのではないでしょうか。

@ 体力はどうする

 私は普段あまり運動をしてはいません。フォークダンスのサークルに行っているので少しはしますが。そういう人が突如1日6〜7時間の歩行を、しかも山道のアップダウンをこなすとなるとやはり何か考えないといけません。 まず、気をつけなければならないのは太りすぎではないでしょうか。私は47歳で170センチ、59キロです。幸い好きなくらい食べても太ることはないのですが、太りやすい体質の方はやはり次に書くような準備を入念にしないとだめだと思います。 1つ目は1週間に1度以上は心拍数を上げる。これはどうしても上り坂は鼓動が早くなるので、時々でいいので心臓の能力を保ってあげるようにしています。私の具体的方法は、毎朝の犬の散歩です。行きは歩きですが帰りは長靴を履いたままドタバタと走ってきます。この長靴というのが効きます。これは心肺機能の維持に役立ってます。毎日じゃなくても週1回位でも体感上は毎日の7割くらいの効果があります。 それから足、特に膝の鍛錬。ゆっくり30回ほどしゃがんで立ち上がってみてください。意外と効きます。いつもの山行では後半で膝を痛めるのですが、今回はなんとかもちました。 そして補助としてのストックをダブルで使います。これは脚力の補助になるのはもちろんです。足は手の3倍の力があるといいますが、手を2本使うと合計足が2.7本になったくらいの効果があります。そしてバランスの保持。2本足よりは4本の方がどんなにバランスを取るのが楽なことか。その他にも露払いをしたり、ぬかるみの軟度をはかったり、渡渉時の石伝いには最高です。熊が出てくれば武器にもなるし。
A 行程と栄養補給
 今回は昭文社の登山地図に載っているコースタイムをもちろん参考にしました。しかし文中に記したように、実際の行程とは結構時間が違うところがあります。私のタイムは小屋泊まり1泊の装備を極力軽く絞って、それで@のような運動能力の人が、安全を損なわない程度に早足で歩いての時刻経過です。休憩は特に書いたところ以外は最高でも5分くらいしかとっていません。 ただしこれは1日目だけで、2日目は別のパーティーと行動を共にしましたので、5人の平均的な時間と思っていただければいいかと思います。
 さて、そのようなやや飛ばし気味の行程で、大切なのが補給です。その上今回は歩行開始時刻が昼前の11時30分です。バスで移動の時間に休養と昼食を済ませなければなりません。昼食は消化に時間がかかって胃に血液を多く回さなければならないようなことは避けたい。足に少しでも多くの血流を配分したい…ということで、アルミパックの「エネルギーイン」を多用しました。ただしカロリー補給を全部それにすると水分が多くて重くなるので、乾燥フルーツも併用しました。ウェストバッグに入れておいて、こまめの補給を心がけます。スポーツドリンクと真水も体の要求に応じてザックから取り出します。
それから心肺機能の補助には「食べる酸素」が効くようです。これからきつそうな登りというときは数分前に何個か錠剤をほおばっておくと息が上がらないで済みます。
B水場
 水場の把握も重要です。1日目のコースで八幡平レストハウスを出た後、流水(たまり水以外)の補給をするには、大深山荘からコースを外れて水場まで往復20分くらいの時間を要します。それ以外には宿泊地の八瀬森湿原までありません。どうしても必要であれば池塘や池の水を殺菌又は煮沸して飲むほかありません。逆に言えば飲み水の確保できるところに山小屋を建ててあるというべきでしょうか。
 2日目は曲崎山の急坂を下りきった所に冷たい水が流れています。また大沢森を下って999m標高点の手前にスノーダンプが何個か立て掛けてあり、10メートルほど沢に下りたところに少量の水がありましたが、水質水量とも不十分です。大白森山荘の前の水場は、登山道と交差する沢がありますが、交差するところから数メートル下流に湧き出ている冷たい流れがあります。そのあとは鶴の湯に下りる急坂の途中にあります。
C山小屋
 コース中に3箇所ある山小屋の中では八瀬森山荘が新しくて収容人数も多く(20人くらい泊まれる)、設備もよく、こわれていません。大深山荘はあまり新しくはなく、安心して泊まることはできますが、宿泊は8人くらいが限度でしょうか。大白森山荘はだいぶ前から老朽化が言われていますが、外部階段の踏み板が破損していて、上がるには注意が必要です。(10年くらい前からこの状態でした) 2階の壁板の上部が一部欠落しているので横殴りの雨では雨漏りがあるかもしれません。でもまだ使えるという感じでテントに泊まるよりは快適に寝られそうです。上下で12人くらいは寝られるでしょうか。床は汚れているので敷物を持参した方がいいかもしれません。
 また八瀬森山荘についてですが、他の方も書いておられるように、布団が掛け敷き8組ほどあります。2階の壁際に干し竿があって、吊るしてありますので安心して使用できます。少なくともマットは持参しないで済みます。寝袋もビバークを考慮しなければ不要でしょう。シーツ又はシュラフカバーのようなものだけはあったほうがいいかもしれません。トイレは2階にあって、一度外に出て使用するようになっています。雑多な備品があります。
Dくまさん
 森の熊さんは足跡だけがいたるところで確認できました。私は鐘を吊るして歩くのですが、その他に熊よけスプレーも持ち歩いています。いつでもさっと早撃ちができるようにしてありますが、ためし撃ち以外には使ったことはありません。
Eその他の装備
 非常用には最も通信可能範囲が広いのがアマチュア無線機ですので単独行が多いので必ず持参します。携帯電話は会社にもよるようですが、今回はほとんどのコース区域で使用できませんでした。 ハンディGPSも持参しましたが、今までの経験ですと葉が生い茂っていると衛星を捕捉できません。湿原など空が少なくとも半分以上開けていないとだめです。このコースでは冬のスキーツアーや新緑前、落葉後しか使える期間はなさそうです。 カメラ、これはもうデジカメで接写のできる、3倍望遠付きがお勧めです。取れる枚数が多い(140枚くらい)、失敗は即確認できる、露出補正も自在でその場で確認しながら撮れる。接写に強い機種が花も撮る人にはお勧めです。 ザックのショルダーベルトに専用ポーチを付けておけば歩きながらでも準備と収納ができます。
F刈払い状況
 あまり通行量の多いコースではありませんので、手入れがされていない部分は笹藪が覆い被さって迷いやすくなります。7月末現在の未開部分は、宝仙湖畔の小和瀬から登って来るルートとの三叉路から大白森山荘の間がやや大変で、迷いやすくなっています。小屋に刈払い機がありましたので、今年度中にはほぼ全線開通するものと思います。刈払いの業務をなさる方は小和瀬から登るようです。やや藪があるのは関東森付近。あと三ツ石方面の分岐から西へ数百メートルくらい。いずれも注意すればだいじょうぶです。昨年の記録に藪の記録があった、曲崎山は刈り払い完了ですが、斜面が刈った笹の茎で滑りやすいので注意です。下りでの転倒は大事故になりかねません。この山域で骨折等した場合にはヘリを呼ぶしかないかと思います。呼ぶにも無線が飛べばいいのですが…。 単独の方は特に注意しましょう(自分ももちろんです)!