「はじめての岩国市」  2017..10.16-18
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 これまでに国内で行ったことのない(少なくとも駅や高速道から降りたことのない)「地方」は、無くなったような気もします。中国地方は岡山で一泊、広島の三原で日帰りがありましたが、二泊で景勝地も見たのは今回の山口県岩国市が初めてです。
 
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 今回も行程は羽田まで列車で行って、そこからの飛行機で往復と現地での2泊は、楽天トラベルのパックを利用します。
 以前は九州までも新幹線で往復することが多かったのですが、よく調べてみると宿泊とのパックにすることで空路のほうが安い場合がほとんどです。一日に利用できる便数も、鹿児島の時には一時間に一本以上(ANAとJALを合わせるともっと)あって、新幹線よりも時間的制約が少なくなるようです。所要時間も短くて済みます。空路の欠点とすれば台風等の影響を受けやすいことや、夜間や早朝の発着が無いこと、目的地の空港によっては便数が少ない場合があることです。今回の岩国錦帯橋空港は全便で羽田からANAが一日5往復とあまり多くはないのですが、必要な時間帯にちょうど良い便がありました。
 今年の4月に鹿児島に飛ぶまで知らなかったのですが、羽田空港にはターミナルが 国際線・第一・第二 とあって、モノレールで降りる駅も違います。目的地の空港によっては、JALとANAの片方しか飛んでいないこともあります。両方ある場合には私が調べた日時ではJALのほうが安価なことが多いようです。少しずつ旅慣れてきました。
 今回の岩国はANAなので第二ターミナルビルで降ります。A〜Dの大きな旗がぶら下がっています。上写真ではA・Bが見えませんが中間にエスカレーターや歩廊があるためで、下の2階フロアはずーっと繋がっています。
 搭乗ゲートは、中国地方に飛ぶのはCやDに近いほうだと思って、そちらで保安検査を受けましたが、実際はAに近い、バスで機まで移動するゲートで、500番台でした。廊下をせっせと歩いてゆきますが、400m近くあるので、速足で結構運動になります。
 出発便の一覧が電光掲示されますが、これで失敗が無いように十分確認する必要があります。往々にして搭乗ゲート番号が変更されます。ヒューストン空港での乗り換えの際に、変更を十分に確認せずに、危うくツアー団体からはぐれそうになったことがあります。
 また前回の宮崎行きでは同じ発時刻の便を間違えて認識してゲートに着いたら沖縄行きで、慌てて300mほど走って正規のゲートに移動したこともありました。今回も変更があったようですが大丈夫でした。
 いつもは窓際の席に座って、初めて飛行機に乗る人みたいに窓の外の景色を見たり写真・ビデオを撮るのですが、今回は機体の変更があったようで、事前に指定した席とは違う、通路寄りの席になってしまいました。通路寄りの利点は荷物を出すために最初に立ち上がるので、降りられる順番が少し早くなることと、搭乗時間が長くなる場合には、トイレに行くのに他の人に除けてもらわなくて済むことでしょうか。でもやっぱり窓際のほうがいいです。
 岩国錦帯橋空港(愛称)は、以前からあるものかと思っていましたら、平成24年開港からまだ5年の新しい空港でした。米軍海兵隊の岩国基地と共用で、青森の三沢基地に次いで共用は2か所目だそうです。自衛隊とも共用です。共用滑走路から敷地のはずれのほうにある空港ビルまで長い誘導路で出入りします。
 宿泊場所は岩国駅の近くなのですが、距離は2kmほどで、歩いても30分くらいなので迷うところですが、雨模様なのでバスを利用します。航空機の発着に合わせたバスの便があり、到着が遅れても待っていてくれます。この日も少し遅れましたが、手荷物なしの私はまだお客さんの少ない車内に乗り込みました。最近のバスはノンステップバスというのでしょうか、車内の低い部分には段差がなくて、入り口から出口まで水平移動だけで通り抜けられます。
 乗車時に整理券を取りますが「ICカード」も利用できるようでしたので、手持ちのSuicaをかざしてみましたら、エラーのブザーが鳴りました。鹿児島などと同じく、いわくにバスのICカードは、交通系の共通ICカードとは互換性がありませんでした。ちなみにJRの岩国駅を含む区間ではSuicaが使えるようです。
 岩国市は人口が14万人近くあります。Googleのストリートビューで事前に見たところでは駅舎は平屋で、人口規模の割合に大きくないのかなと思っていましたが、現在改築中で11月には新駅舎と東西自由通路(陸橋)が利用できるようです。
 この日は晴れたら錦帯橋を見学する予定でしたが、雨が止まないので駅の近くのお店を何件か回った後、一人で居酒屋に入るのも勇気がいるので、ダイソーの地下にあるスーパー食品売り場で食べ物と飲み物を買い込んで早めに宿に入りました。
 (ここで旅から大きく脱線します) 
 ビジネスホテルを利用すると目に付くのが水栓とシャワーの器具です。大抵はサーモスタットのついた高価な器具ではなく、写真のように手動で調節するものが付いています。
 手調節でも構わないのですが、問題は温度調節を完了した混合比で一時止水ができるかどうかです。 出来ない器具の場合には、一度使い終わっても再度時間をかけて混合比を合わせなおすのが大変なので、次に使うまで出しっぱなしにします。(多分そういう人が多いはずです) 自宅だとしないかもしれませんが、お湯の元の温度が高かったりすると調整が難しいので、まず止めません。これが全客室で365日繰り返されるとなると、下手をするとお湯の半分くらいは無駄に流れている可能性があります。多分器具代を節約した分で、お湯代が年間数十万円単位で余計にかかっているのではないかと想像します。設備設計を担当する方にはその辺まで見通してほしいものです。
 翌日は、用務が昼からなので、空港の愛称にも取り入れられている錦帯橋を 見学します。時間単位の天気予報を見て、ぎりぎり雨が上がる時刻にバスで到着して、予報どうりに傘を使わずに済みました。
 バス停は橋のたもとから数十メートルの所にあって、すぐに錦帯橋に近づけますが、川沿いの道から河原に下りる歩道がありましたので、渡る前に橋の構造などについて下側から覗いて勉強させていただきます。
 川の中央寄り3つの区間がアーチになっています。そのアーチは巨大な天然木材を渡したものではなく、ものすごい数の木と金属の部材を強度上の無駄なく組み合わせて出来ていました。しかも木材は樹種ごとに最適な選択組み込みがなされています。400年近く前に構成された基本構造は、現代の構造計算に照らしても合理的なものなのだそうです。
 帰り道には雨も上がって観光客も増えていて、ボランティアガイドのお話をすれ違いながら少し聞くことができました。川岸には桜並木があります。全国の桜の名所で一位になるのは、大抵弘前城なのですが、この錦帯橋の桜も一度だけ日本一に選ばれたことがある…ということでした。雨上がりも風情がありましたが、桜の時期もよさそうです。
 地元の方でしょうか、釣りをしている人もいます。ビデオの後半でアユらしい魚影が見えました。
 
 三つのアーチの左岸よりてっぺんから、右岸の方を望みます。ほぼ同じ高さにアーチの頂上がそろっているのがわかります。
 錦帯橋と岩国城の動画はこちらからご覧ください。

 岩国ではこの錦帯橋を世界遺産にしようという機運が盛り上がっています。構造・技術・景観・歴史…どれもすばらしく、私的には賛成ですが、大雨などの災害による流失や、平成にも架け替えが行われていることがネックになるかもしれないとのことでした。構造面では、橋脚の石積みは化粧で、内部は昭和の架け替えの際に鉄筋コンクリートにしてあるとのことで、それも登録には不安要素かもしれません。でも物理的に昔のものが残っていることよりも、技術と文化が伝承されているということに重点を置いて判断していただければと思います。
 右岸には土産物店や飲食店が並んでいますが、そこを通り抜けてゆくと、昔は武家屋敷があったところや神社仏閣に隣接する区域を通り抜けて、岩国城へ上るロープウェーの駅に着きます。
 岩国駅を出発点とした場合、バス・錦帯橋歩行・岩国城ロープウェー の3か所については往復する場合が多いので、往復の利用券が発行されています。手間が省けますが、帰りに無くさないように気を付けます。
 ロープウェイの頂上駅から岩国城までは、山道と舗装路があります。私は昔も利用していたらしい山道をさっさと歩いてゆきます。一緒に下りた人たちはもちろん舗装路の方を選んだようです。
 岩国城は、国内の他の多くのお城と同じく、鉄筋コンクリートで再現されたものですが、そばの休憩所で展示されていた資料やビデオから、その歴史と錦帯橋についてもよく知ることができました。
 お城の中は各種資料の展示があって、最上階からは市街地が一望出来ます。 気に入ったのは右写真の「撮影はご自由に」です! もったいぶって小役人根性を発揮して根拠のない撮影禁止としている施設も多い中で、素晴らしいです。
 帰り道は広い歩道を通ります。山の上にあるお城を見学する時には、昔からのライフラインである飲料水をどうしていたのかが気になります。やはりあまり坂を下りて行かないところに井戸がありました。
 ロープウェーの頂上駅の広場には仕掛け時計の時計台があって、設定時刻になると動くはずなのですが、時刻を過ぎても鳴る気配がありません。発車時刻になりましたので残念ですが下ります。
 再び岩国駅の近くに戻って、昼食をいただける場所を探します。現代ではGoogleマップを開くだけで飲食店の営業時間などが分かるようになっていますが、ある程度事前に絞り込んでおいたところに向かいます。バス停のある駅の西側から駅の東側にあるお店をめざしました。これもルート探索できますが、駅の入場券を買って東口に出るルートもあるようですが、入場しないでぐる〜っと回って、やっとたどり着いたら・・・定休日でした↓。 私のチェック漏れか、情報不足かでした。気を取り直してまた駅の西口に戻ろうと歩いてゆくと… な・なんと!地下道の自由通路があるではありませんか!地図には載っていませんが、駅の改修が完了する17年11月には地下道ではなく高架歩道でつながるようです。
 地下道を通って駅の西側に戻り、複数選んであった候補の一つ「花鳥風月」さんに入ります。日替わりランチのうち、一番高価(といっても1150円)な風月ランチを注文しました。出てきたご馳走を見て、小食な私は少し後悔しましたが、食べてみるとおいしさにつられて、ほとんど完食できました。海老と白菜のクリーム煮込みをメインディッシュに、写真ではよくわかりませんがいろんな副菜・スープ・デザートで満足してお店を後にしました。
 午後からの用務は、いわくに消防防災センターというところでの開催です。用務の後に参加者で希望者は階下の一般用防災体験施設で見学が出来ます。私もこの日は予定を消化して時間に余裕がありましたので参加しました。
 水消火器の訓練や通報訓練などもありますが、照明を落とした煙の充満した部屋で手探りで脱出するところもあります。いちばんすごい施設は震度体験です。数人が乗った状態で、過去にあった実際の揺れ方を再現します。その再現能力が他にない性能だそうです。もちろん私も体験しました。担当の係の方は3.11の被災地へも援助に来ていただいたとのことで、大丈夫か(心的ストレスが再発しないか)尋ねられましたが、私個人は根が図太いせいか、当時を含め大丈夫なので参加させていただきました。搭乗要領は、オフロードバイクに乗ったような感覚で首から下をゆれるに任せるとうまくゆきます。
 もう一つ注目すべきなのが、この施設が山口県ではなく、岩国市の施設であるということです。人口は14万人くらいと、特別大きな都市ではないのですが、この防災センターの他にも、すぐ向かいには陸上競技場の整備も進められているなど、各種都市設備が充実しています。地元の方に聞きましたら、防衛省予算で整備されるものも多いということでした。米軍海兵隊岩国基地と海上自衛隊岩国航空基地を持ち、騒音や事故対応の負担もあるが、市の財政負担の面では有利なこともあるようです。 軽々しく論ずることはできませんが、基地のないところに住む者にはわからないことも多いようです。
 夕刻に宿と駅の近くに戻ってきました。この日は外食予定ですが居酒屋を探して入るのも億劫なので、デパートの上階にあるレストランにしました。
 残念ながらアルコール類は無いようでしたが、私の好きなメニューを頼みました。カレーとソフトクリームの組み合わせは前回羽田で昼食にいただいて、意外にイケました。カレーで温まったスプーンでアイスクリーム部分をカットすると滑らかに切れるし、牛乳を合わせて飲むのと同様の調和感が気に入りました。
 今回はカツカレーとフルーツパフェです。普通はこの手の組み合わせでは、デザートは後になさいますか?と聞かれるのですが、一緒に持ってきてもらうことにしました。合わせて1200円足らずなので分厚いカツとはいきませんが、味的には十分おいしくいただけました。
 岩国を朝イチの飛行機(羽田行き)で発つと、三陸海岸の自宅へ夕食までに帰ることができます。宿から空港までは日の出の朝焼けを見ながら歩いて向かいます。基地に隣接しているのでゲートなどをキョロキョロ観察してゆきますが、搭乗ゲートから誘導路を進んで行く途中にいろんな航空機が並んでいるので見ごたえがあります。
 初めに米軍機(下の写真の上段2枚)が見られます。戦闘機も相当数あって、上に載って歩いている人もいました。残念ながらオスプレイは見えません。(沖縄でかなり上空の物を一度だけ見たことがあります)
 滑走路に近づくと自衛隊機も見えます。飛行艇やら対潜哨戒機?も見えます。


 羽田までの空路は前回に引き続き右側の席を取ったので、瀬戸内の島々や伊豆諸島?を俯瞰しながら、房総半島を横切って北向きでの着陸態勢に入ります。でも3時の方向からやってきたANA機がどんどん近づいて平行に飛び始めました。もしかしてニアミス?と思いましたが、並行する2本の滑走路に同時に着陸する便のようです。(左写真。上は右エンジンカバー)
 羽田からはいつものモノレールではなく、京浜急行線を使ってみます。乗り込むと車内には 北総鉄道 の広告がたくさんあります。ずいぶんと離れた別会社ですが何で?と思いましたが、多分地下鉄経由で相互乗り入れしていて、その南端が羽田なのだと思います。私が京急沿いに住んでいた40年前には品川で行き止まりだったような気がします。
 東北新幹線の予約列車までは余裕を見ていて時間がありますので、秋葉原に向かいます。残念ながらお目当ての店舗はまだ開店準備中でした。でも私的にはこの町は懐かしさと楽しさの両方があります。
 東京駅に戻って、前回好評だったお土産の駅弁(米沢駅の牛肉ど真ん中)と自分で食べながらかえる柿の葉すしを買って定時の新幹線に乗りました。今回も充実した楽しい旅が出来ました。