「八幡平茶臼岳と安比の秋 そして初冬へ」  
  秋編 2014.10.11-12 、 初冬編 11.22-23
topへ
 春の高山植物が次々に咲きだす頃に訪れることが多いのですが、秋は歩いても涼しくて景色を眺めるのにはいい季節です。
 また、安比高原へは雪の積もり始めた季節にも行って見ました。

 
「よかったところ」topへ
 快晴・秋晴れで風も無いおだやかな八幡平の朝です。コースは、黒谷地(下の地図の赤点線を反時計回りに進みます。車を置く場所は赤丸の黒谷地バス停のあたりです。
 まず車道(八幡平アスピーテライン)をバス停で1区間分(黒谷地→茶臼口)進みます。何度かバスも利用したことがあるのですが、本数があまり多くないのでタイミングが良かった場合を除いて、バス停1・2つ分だとその区間を歩いたほうが早く到着します。
 歩きながらだと車で通過するよりも景色を余裕をもって見ながら進めます。南側に熊沼や夜沼が現れて、秋の陽射しが湖面のさざなみに反射してきらきらしています。

   動画:熊沼
 茶臼岳の登り口から頂上までは、普通に歩いて45分ほどです。最初は木製の階段状の道ですがすぐに視界が開けてきます。
 眼下に松尾鉱山跡に鉱毒水処理施設が見えますが、その近くに錆色と緑色の二色に分かれた池が見えます。多分中和の状況によって色が変わるのだと思います。
 茶臼山荘の前を通って頂上に向かい、しばし休憩します。八幡平には「3大展望台」がありますが、春に登ったモッコ岳、八幡沼近くの源太森、そしてここ茶臼岳です。八幡平の最高点である頂上は、原生林の中の平坦な地形なので人口の展望台が作ってありますが、展望の良さではこの茶臼岳が一番かと思います。

    動画:八幡平茶臼岳からの眺め
 動画内容 岩手山→夜沼→熊沼→モッコ岳 

右下写真:茶臼岳頂上から望む八幡平頂上方面。その下は駐車場のあたり。岩手側レストハウスはこの夏に地上部が解体撤去されたようです。
 茶臼山荘に戻って中を見学します。二十年近く前に小学生だった次女と泊まったことがありましたが、中が立派できれいなので建替えられたのかもしれません。
 八幡平は冬山にスキーツアーで訪れる人も多いので、救助運搬用でスノーボートが配置してあります。
 
 ↓茶臼岳山頂から望むモッコ岳、手前は熊沼。熊沼の上方斜面を見ると火山噴出物が積層したような岩肌が見えます。熊沼は火口湖なのかもしれません。
その下はコース後半で立ち寄った黒谷地。
黒谷地展望台に着きました。アスピーテラインに戻る途中にある熊の泉。皇太子夫妻もかつてここへ立ち寄ったとのことです。
 この日は「八幡平頂上ホテル」には泊まらないで、樹海ラインを通り麓におります。八幡平ビジターセンターのそばでは山賊祭りが行われています。こちらも春の葛巻高原祭りと同様に毎年楽しみにしているイベントです。以前に県管理の水力発電施設見学ツアーがありましたが、その後行われていないので、ぜひまた類似の企画をお願いしたいところです。
 
 近くのスーパー松尾日販で酒の肴などを調達したあと、いつもの銭湯「森の湯」でお風呂をいただき、県民の森にある駐車場でこの日はPキャンとしました。

 岩手県民
の森の辺りからは、岩手山北麓の眺めが見事です。
 ←夕刻と明け方の 岩手山

 南部片富士と呼ばれる岩手山は、南の盛岡市方面から見ると向かって右側だけがなだらかな成層火山の形状をしていますが、北の八幡平方面から見るとその逆になり、屏風岩や黒倉山のピークが目立ちます。全方向がきれいな円錐形をした富士山などと比べて見た目はともかく、複雑な形状により火口湖や温泉や登山ルートのバリエーションがあり、楽しむには良いところです。
 黒倉山は十数年前でしょうか、噴煙(蒸気?)が上がり、警戒されていたことがあります。御嶽山のこともあるので火山情報には注意が必要です。

 県民の森から北を望むと昨日登った茶臼岳から安比スキー場の前森山までの稜線が望めます。森の中の遊歩道を回ると、意外なところに砂防ダム?がありました。「谷止工」と表示されています。車道からはまったくわかりませんが目立たない所で火山防災対策がなされています。
 安比高原にやってきました。最初に安比タワーなどのホテル群近くにある観光牧場を回った後、冬はスキー場の駐車場になるところにいきますと、個人出品による(商店もある?)フリーマーケットをやっていましたのでぐるぐる見て回ります。
 冬にスノーモービルで出かけた時に、荷物を載せて引くやや大きいそりを探していたのですが、中古で売られているのを見つけました。秋田から来たお店らしいですが、新品だと数千円のものを1000円でGET!しました。

 安比高原中の牧場(なかのまきば)に向かいます。車内で昼食をいただいたあと、散策路に入ります。これといった目印の無いブナ林なので、なんと20mおきに、ずーっと案内表示板が立てられていますが、バリエーションルートもあってそちらには案内板がありません。夏にはやなぎらんが群生してピンクになるあたりも今はススキの穂が目立ちます。
 中の牧場にはぶなの駅という休憩施設・トイレ等がありますが、今年の春に来たときから木製の柵が設置されています。調べてみましたらこれは中に馬を放牧して、奈良・平安の時代から続くと言われる安比の牧場の景観を守るため、草を食べてもらうという計画なそうです。人力による茨やススキの伐採はこれまで行われてきたようですが、より元の形に近い方法での維持・復元がなされれば良いと思います。
 続けて奥の牧場へも足を伸ばします。途中3/4くらいのところまで、簡易舗装がなされていました。春とはまた違った佇まいで、このあと間もなく長い冬篭りに入る準備をしているようです。しばし楽園のそばにとめた移動別荘の中で夢を見させていただいたあと帰路に付きました。


  動画:安比ブナの森の秋

2014.11.23 初冬の安比高原へ
 H26年11月下旬の連休は、もうじきスキー場が開く時期ということで、標高の高いところから順に雪が積もってきます。車が入れるエリアもしだいに狭くなってきます。
 5年程前には安比温泉のビデオ番組での取材案内でやはりこの時期に向かったことがありますが、11月中旬には初雪、下旬には車の進入が困難になってきます。

 土曜の朝にスノーモービルを積んだトレーラーを引いて、紫波町ラフランス温泉館近くにある紫波農園のレストランに立ち寄ります。まだ少し早いのですが、この日10食限定のカレーセットをいただきます。野菜カレーの他に、洋梨のラフランスを使ったソフトクリーム(皿盛り)などがついています。

 盛岡市内で「東北最大級」という売り場面積の書店に行って見たりしたあと北に移動して夕刻に岩手山の麓にある「焼走り国際交流村」の温泉をいただきます。誕生月の人と同行計5人までは600円→300円とオトクです。
 岩手山の麓にあるこちらの施設にはキャンプ場や天文台などもありますが、宿泊施設は無いようです。温泉があるのにもったいない気がしますが、集客と経営という観点からすると難しいのかもしれません。

 この時期の各所駐車場や休憩所は、徐々に冬季閉鎖のところが多くなります。まだ雪が積もっていなくても、トイレ棟は閉鎖されている率が高いです。そのような中でも通年、どんなに寒くても雪が積もっても利用できるトイレと駐車スペース(しかも一部は屋根付き)が使えるところがあります。夏にも何度か使っている中山チェーン脱着場です。
 時折地元の業務車両や軽トラックが立ち寄ってトイレを利用して行きますが、Pキャン下のは私たちと、大型車1台(多分置いてあるだけで人はいない)だけでした。未明に雨が降りましたが朝はまた晴れてきました。
 朝食を摂ったあと安比高原に向かいます。

 ホテルやスキー場センターハウスのある辺りまでは路面には雪がありませんが、安代林業センター岩畑の湯を過ぎたあたりからは雪と凍結の路面となり、日陰などは4WD車でなければ進めなくなってきます。いつも休憩するブナの駅(既に冬季閉鎖中)までなんとかやって来てスノーモービルに乗り換えます。積み下ろしは自案自作で施した道具たちのおかげでトラブル無く進みました。
 スタック等に備えてある程度の装備をソリに積んで引いて行きます。雪を掘る冬山用のスコップ、ハンドウィンチ(揚程10m)、ロープ、歩いて帰らなければならない事態になった場合に備えてストック(バスケットの大きなもの)などです。

 まだ雪が浅いので、安比の草原を走り回ると植生に影響が及ぶ恐れがあるのと、スノーモービルの導入目的が冬季閉鎖の道路を移動することが主なので、草原(であるところ)には乗り入れません。

 奥の牧場にやって来て、つぼ足で池塘のある辺りまで散策してみます。水面は既に雪氷に覆われています。
 奥の牧場からさらに進んで行くと、車が放置?されて横向きに止まっていました。ここまでよく進んできたというべきでしょうか。でも先に段差があるところなので、ここであきらめて歩いて先に向かったようです。私だったら帰る方向まで車の転回を済ませてから歩き始めますが、こちらは横向きになっています。 スノーモービルはあまり幅が無いので端の方を通り抜けることが出来ました。

 枝道(ダム建設の車道跡)に入ってみて下り坂を進み、戻ろうとしたところ、やや急な斜面で雪面をスノーモービルのキャタピラが掘って底の泥まで落ち、スリップして登れなくなりました。登り方向への再発進は困難なので、一度平らなところまで降りてから勢いを付けて通過してクリアできました。ウィンチを出すには至りませんでしたが、どの程度が限界なのか、どう対処すればよいのか勉強になりました。
 安比歩道の入り口、赤川の砂防ダムを渡るところまでやってきました。長靴なのでダムを向こう岸まで渡ってみます。雪上の足跡はさらに安比温泉のほうに向かって伸びています。今回は私たちは温泉まで行く予定ではないのでここで引き返します。もし行く場合にはスノーシュー・ストックなどと冬山行動にあわせた準備が必要です。

 帰り道に歩いて登ってくる2人の方に会いました。「安比温泉までですか?」と聞くと、2日後に安比温泉のテレビ取材が入るので偵察に行くとのことです。
 私も5年程前にNHKの取材の案内をしてきたことがありますが、沢沿いの急斜面に雪が付いていて、危ないので引き返したことがありました。この時期は真冬よりは行動しやすいのですが、状況判断には十分な注意が必要です。
 今回もまた違った季節の安比高原を楽しんできました。


 ↓ 西根から望む岩手山と、ROで冬季閉鎖のぶなの駅