花の百名山、森吉山 2006.6.
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 奥森吉の桃洞やノロ川、そこから連なる佐渡の杉原生林や安の滝のあたり。入ったことのあるそれらの楽園は森吉山の東麓にありますが、花の百名山である森吉山へは登ったことがありませんでした。 阿仁スキー場ゴンドラの夏季営業が始まったようですので、せっこき(省力化=怠け者の方言)登山に行ってみました。

 「花の百名山」は田中澄江さんの著書ですが、1995年からNHKで放送された本人監修の同名番組があります。両者でとりあげた山と、花の組み合わせには違いがあります。森吉山は前者には入っていませんが、後者には取り上げられていますので、この欄でも「花の百名山」という表現を使わせていただきました。因みにウチの近くの五葉山と花の組み合わせは前者では峰桜、後者では白山石楠花になっています。

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 当地を出発して一泊で森吉山へ登るのには、相当朝早くに出かける必要がありますので、金曜の夜に途中まで進むことにしました。盛岡から仙岩峠を越えて秋田に抜ける途中にある雫石町の道の駅に夜9時頃到着して一泊です。ここには温泉やキャンプ場(車乗り入れ可)もあります。
 翌朝Pキャンしているキャンピングカーはウチの他に2台。こちらのキャンパーにはシルバーマークが貼ってあります。奥はウチのコルディーです。他に普通のテントを駐車場に張って寝ていたグループもありました。多分秋田駒ケ岳にでも登りに行く人たちでしょうか。

 
 森吉山には、森吉スキー場と阿仁スキー場がありますが、毎年阿仁スキー場のゴンドラが夏山運行を6月上旬からやっています。花の百名山ということで、こちらはショウジョウバカマ(猩々袴)のようです。ゴンドラにわんこは乗せてはだめかもしれないので、リビは車でお留守番してもらいました。いつもおとなしく待っていてくれます。
 牧場の中を通りますので、牛さんが集まっているのが見えます。牧草の丘すれすれにゴンドラは進んで行きますので、サウンドオブミュージック(知ってますか?)の世界のようです。上の駅に着く頃には少し霧がかかってきました。
 ゴンドラを降りて歩き始めると、すぐに花たちが迎えてくれます。白根葵・御前橘・大葉黄董・岩鏡・紅花苺・三つ葉黄蓮・猩々袴(しょうじょうばかま)・岩梨…
 相変わらず曇りですが、薄日も射して向こうの山肌が明るく見えたりしています。息が切れるのも忘れて右に左に花を眺めながら行くと、やはり残雪がありました。
 ここのように大勢の人が通る雪田は、踏み跡もしっかりあり、また地形も稜線を詰めてゆくだけなので迷うことはありませんが、広い鞍部でまわりが同一種の樹木だったりすると迷う危険がありますので注意が必要です。
 今年の森吉山の夏山ゴンドラ運行は6月10日からでしたが、残雪の多い山域で、この冬は特に多く積もりましたので、運行開始から2週間ではまだ早いかな?と思っていたのですが、ほぼベストシーズンだったかなと思います。
 花の名前も20年程前には、全部が「ミヤマシラネソウ」(=深山知らね=しんざんにある知らない草)だったのですが、少しずつ名前もわかってきました。
 白山千鳥・山桜・褄取草・雛桜・アカモノ・岩銀杏・姫一華(ひめいちげ)
 雲が切れて頂上が見えてきましたが、またすぐに隠れます。避難小屋の辺りでは団体が昼食を摂っていました。すれ違う方も大勢いるのですが、ほとんど60歳前後の方々でしょうか。私が高校生の頃は、じいちゃんばあちゃんが大挙して山に登るというのは珍しく、現代の中高年登山ブームという事態は予想も出来なかったことです。でも、そう言っている自分が中年ですので、30年前の世代がそのままシフトしただけか…と思い至りました。

 やがて稚児車(チングルマ)の絨毯の中を進むようになるとまもなく頂上です。

 頂上の少し東側にある岩の上からは、ノロ川方面に至る登山道と途中の湿原が望まれます。森吉山の中でも花がきれいな所のようですが、次回の楽しみにしました。
 能郷苺(のうごういちご)の花に見送られてゴンドラで降りました。

 里へ下りて、阿仁前田駅前にあるお店で今晩のおかずや果物を仕入れます。アルコール類や魚介類もあります。値段も安くオススメです。
 次に森吉山ダムの見学に行きます。左の写真は2003年です。明るさが違うのでわかりにくいのですが、ダム本体のボリュームがアップしています。それにしても大きいので、まだ完成まではしばらくかかりそうです。
 展望台のある展示施設から森吉山のあたりを望みます。やはり雲がかかったり晴れたりのようです。
 
 今日は途中の宝仙湖畔まで帰って一泊の予定です。打当(うっとう)から椈森(ぶなもり)牧場を越えて戸瀬のあたりに抜けるコースをとりました。この区間には旧道と、数年前に開通した椈森トンネルを通る新道があります。打当温泉から相当山奥に進んだ所に道路崩落の為全面通行止めの看板がありました。冬期全面通行留めから引き続きのようです。でも標識バリケードの脇が開いて途中まで行く人まで規制しているようではないので、行けるところまで行ってみようということにしました。
 新道のトンネル方面への分岐点に至ると、道路の全幅にバリケードが設置してあり、進めません。旧道の方からやってきた車とすれ違いました。
 
 この旧道は10年程前にやはり宝仙湖畔から打当温泉までバイクで越えて温泉に入りに行った事があります。
 道路全体が地盤の変動で傾いたり舗装にヒビが入ったりしているところが多く、これらを完全な状態に戻すには相当の経費がかかりそうです。佐渡の杉原生林入り口の分岐を過ぎたところで、道路が雪で塞がれているのが見えました。やっぱり戻らなければならないのかと、近づいてみると、雪の端を削って車一台がやっと通れるようになっています。ここを過ぎれば通り抜け可能? でも、コルディのトレッドは普通の車よりも広いのです。妻に降りてもらって状況をみながら何とか通過することが出来ました。 写真を撮ればよかったのですが、余裕がありませんでした。椈森牧場を過ぎて一息。またおかずの蕗採りをしました。
 山登りの後は温泉。
 今日は、途中ですれ違った椈森牧場のおじさんが薦めてくれた、新鳩の湯にしました。玉川の中洲にあるこの温泉は、吊り橋を渡って行きます。この橋が結構揺れるんです。ひざをやわらかく使ってトコトコわたります。
 少し緑色かかった温泉は、しばらく上流にある、玉川湯ノ沢の野湯と似た感じです。熱かったので水で薄めましたが、上がり湯はありません。石鹸は普通のもので効きます。
       ↑ 宝仙湖から男神山、焼山方面
 風呂の後は玉川ダム湖畔のキャンプ地へ。この辺りには水洗トイレが使えるPキャン可能な所が3箇所隣接しています。
 ダム下流の広場には野球場や遊具のある公園の脇に広大な駐車場があります。水場もあります。ローリング族が集まったので対策に段差舗装がされています。
 ダムのすぐ上流の国道わきには、定期バスも立ち寄るトイレと売店(昼だけ)のあるPがありますが、少し通過車輌の音が気になります。
 今回お世話になったのはダム管理事務所の脇にある駐車場です。右の写真の左上にある白い点がウチのコルディです。その右にカリヨンの鐘(だったかな?)があります。夜間もこのときはトイレは閉鎖されませんでした。
 このほかに上流の男神橋を渡った左下にもポイントがありますが(3年前に使用)、以前使用可能だったトイレは閉鎖されているようです。
 今はこのあたりは仙北市ですが、旧町名は田沢湖町です。何年か前に前述のダム下公園で、バイクツーリング途中で一人でキャンプしていると、向こうにいたパーティのお母さんが「一緒にどうですか」と声をかけてくれました。お邪魔していろいろとお話を伺うと、こちらでは「便所町長」というあだ名がつけられるように、各所に利用しやすい公共トイレを設置することに力が入れられています。地元の人にとっても観光客にとっても、これはとても大切なことだと思います。目立たないけど基本的な部分にしっかりと力を入れること、それは万物に当てはまる理想ではないでしょうか。
 留守番も多かったんですが、リビも我慢して付き合ってくれました。


 高山植物は目立たず、清楚でいいですね。