(直結)

  

「みちのく潮風トレイル・田野畑村幻の未開通区間」  2025.08       よかったところ」topへ topへ

   

 全体のトップページへ
(更新情報はこちらに掲載されます)    


 ここに紹介するのは、みちのく潮風トレイルの正規コースではありません。本来であれば登録されるに値する区間ですが、先の震災・地盤沈下により潮位による冠水時間が長く、迂回路が設定されたものと聞いています。2025年時点で潮位が概ね1m以下であれば波の合間を縫って歩行が可能のようです。  隧道(トンネル)を数本くぐりますが、やや長いところもあり照明器具は必須です。各種紹介で「手掘り」との記載が多いようですが「素掘り」(壁面仕上げのない岩盤露出)ではあるものの、掘削には爆薬を使用したと聞いています。この区間の隧道は普通の身長の方には十分な高さがあり、照明があって壁面が確認出来れば特にヘルメットまでは不要かもしれません。  履物は何か良いか考えて、長靴・ハイキングシューズ・バックバンド付きのサンダル… と用意しましたが、現地を見て長靴が正解のようです。尖った岩壁もありサンダルでは危険。細かい砂利が入ったり、水たまりもあるので短靴もお勧めできません。長靴は暑いのを我慢すれば最適です。ただし他のアップダウンがあるルートも兼行する場合には、短靴+スパッツもよいかも。

 2022年には同じ田野畑村内の、みちのく潮風トレイルのハイライト区間であるラダーや隧道があり、北山浜から机浜に至る区間も訪問したことがありますが、感覚的には似たような経験が出来ます。  歩行スタート地点の白池浜はこちら 

 ウチから三陸道を北上して、事前の目的地は八戸の館花岸壁朝市です。前泊地として葦毛崎展望台の駐車場を利用させていただきます。こちらの展望台は城塞のような石造りで趣があります。付近に遊歩道もあり、潮風トレイルのコースの一部になっています。

 海辺の車中泊で注意が必要なのが、津波時にすぐ高所へ逃げられるかです。ここは海は近いですが標高が19mほどあって、先の震災時の波高程度であれば大丈夫です。
      夜間は駐車場に来る車は少なく、快適なのですが、この日はどなたかがやってきて、すぐ近くに熊が出たのでここに逃げてきました、とのことです。でもウチの周りではしょっちゅうクマ出没のお知らせがあるし、ウチの裏庭にフンがあったこともあります。なので施錠してそのまますごします。
 翌朝の朝市で朝食やウチでのおかず類を購入して、朝食の後に田野畑の白池海岸に向かいます。
   白池海岸までの道の分岐点には、道路に落石が来る可能性があるとのことで通行不可の表示がありました。でも右側が開いていたので、多分こここより先で完全通行止めとなっているものと判断して、海岸まで進んでみました。
 やはり想像通り右写真のようなバリケードが現れ、海岸沿いに島の越の船着き場方面に進むことはできません。ですが手前に白池海岸へ入ることは可能でした。
 
 
     この区間を目指すにあたっての重要事項は、潮位です。今回は最寄りの潮位観測点データを調べると、ここに向かうことができる日程である 7/27 の午前7時頃から12時頃にかけて、潮位は通行可能な目安となる100cmを大きく下回り、0cm近くが期待できるようです。
     白池海岸の防潮堤から砂浜に降りる手前に、公認コースの登り坂入り口を示す標柱が立っています。 地形図の等高線を見ると、上り下り150mが必要です。でも波打ち際を行けば、最大でも5m程度のアップダウンで済みます。

 下の二つの地形図で、黒破線の部分が歩道ですが、地形図にはない歩道区間を通るところもあります。下左図は環境省の同トレイルマップからの切り出しです。下右図の赤線は私が採取した歩行軌跡です。
   
    出典 上段左:日本の長距離自然歩道ウェブマップ(環境省) 、 上段右と下段右:国土地理院地形図にカシミール3Dで管理人採取の歩行軌跡を載せたもの
   上段地形図の部分拡大です。
 地形図には崖の中腹を経由するような歩道の記載もありますが、実在するかどうかは不明です。隧道は赤軌跡上に掘削されていましたので、近接して高所と低所に二本の隧道を掘削することは考えにくく、記載位置のずれと見なした方が良いかもしれません。
 隧道表示の少し下では海上を通過した軌跡になっています。ここは干潮時には歩行できる砂利浜ですが、標準海面高では水没する場所になります。

 余談ですが、軌跡と地形図と取材写真の構成には、現代のアプリではYAMAPやヤマレコやジオグラフィカといった物が主流ですが、私が使っているのは「地図ロイド」と「山旅ロガー」です。理由は次の通りです。
1.不必要に他の人と交流しようとは思わない
2.完全無料であること(他は有料)
3.写真はケイタイでは撮る習慣がない
4.広範囲の地形図(必要なら全国)を本体内に保存できるため、旅行先に行く度に地図を用意する必要がない
 
      左写真は、上記の海上を歩く区間の砂利浜です。波の先端が十数条の凹凸になって押し引きを繰り返しています。右側の盛られた砂利の上は乾いていて、歩くと沈み込みが大きくて疲れますが、海水が引いたばかりで濡れていると締まっていて歩きやすくなります。波とたまに追いかけっこをしながら進むのも楽しいものです。
     
   写真の順番が一部前後しますがご了承ください。
 ちょうど はまゆり(=スカシユリ)が咲く季節で、崖の中腹におおくありますが、低いところのを見つけて撮影出来ました。
 高い潮位の場合には歩行できなさそうな区間をいくつか越えたり、陸側の崖から崩落してきたと思われる巨石を縫ったり越えたりしながら進んでゆきます。向こうに鵜の巣断崖が見えてきました。
 
   
      いくつか隧道をくぐってゆきますが、入り口に案内表示があります。左写真はやや設置から時間が経っていて読みにくいのですが、記載事項を再掲しますと次のようになります。
  白池海岸  真木沢海岸
   にごり隧道
 そして標柱には 陸中海岸自然歩道 側面には 岩手県 とあります。
 ここを含む海岸線は震災前には「陸中海岸国立公園」で、現在は「三陸復興国立公園」の名称です。この看板はもしかすると震災前に建てられたものかもしれません。
     
   短い隧道(トンネル)では不要であったり、スマホのライトで間に合いますが、こちらの「みひき場隧道」では途中で曲がっていて向こうの入り口が見えないこともあり、照明器具が必須です。それもある程度奥が見える明るさがあるものがおすすめです。ヘルメットは普通の身長で側壁に寄るのでなければ不要かも知れませんが、出口に巨大な石があって乗り越えたりする場面がありましたので、ヘルメットがあるに越したことはありません。   
   
     上写真は隧道と隧道の間にある小さな砂利浜で、外の海や海岸の崖が望めます。でも満潮時には隧道内まで潮が寄せるようで、看板が一部壊れていたりします。
 スタートから約1.8km、45分ほどで鵜の巣断崖の北側にある、真木沢海岸に着きました。鵜の巣断崖展望所までは登らず、入り口の標柱をみて戻ります。

 無数の石がある浜ですが、一つ、木星みたいな模様の石を見つけました。
     
     
     
     
     
  つづく・・・