「八幡平・畚(モッコ)岳と大揚沼」  2020.
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 日本百名山の中でも、最も気軽に登れる山の一つである八幡平ですが、その頂上の周囲には、アスピーテと呼ばれる盾を伏せたような高原がひろがっています。その中でもたまに粘度の高い溶岩が噴出した場所(アスピトロイデ)に、八幡平の三大展望台、源太森と茶臼岳の2つがあります。もう一つの展望台がモッコ岳ですが、こちらは「盾状」地域から少し南に離れた場所にあります。
 何度かこれまでも登っていますが、今回はその頂上からドローンを発信させて、八幡平頂上方面を撮影しようという計画です。 付帯して近くにある大揚沼も撮影します。

 エゾオヤマリンドウの花が道端に咲き始める季節は、あまり汗をかかずに野山を歩き回ることが出来ます。モッコ(畚)岳へは最寄りの車道からは肉眼ではやや遠くに見えるのですが、実際に歩くと私たちの足でも25分ほどで到着します。裏岩手縦走路の始点にもなっている登山道の入口に未舗装駐車場がありますが、数台の車で満車でしたので、少し下200mほどの第二駐車場から歩き始めます。
 実は今回撮影予定の区域には、春のアスピーテライン開通後から毎月予定を立ててはいたのですが、天候の良い日に当たらなくて引き延ばしになっていました。今回も前日までの予報は降雨確率80%前後だったものが、当日朝になって曇りの予報となったため、急遽変更して頂上に向かいました。歩きはじめは昼過ぎですが、東側の空には所々に青空も見られます。でも標高1700m位から上は曇りのようで、岩手山(右写真の右側)頂上も雲の中です。
 この日時に畚岳へ行く途中ですれ違ったのは4パーティ10人ほどでした。子供連れでも天候さえ悪くなければ無理なく往復できて、眺望もよいのでお勧めです。私たちが着いた時には皆帰った後で、頂上を二人占めしてきました。このあとは空撮画像から切り出した八幡平遊覧飛行のようすです。

  動画はこちらからご覧ください

 ↓ 頂上の西側から東に向かって進みます。奥の左に盛り上がったところは 源太森 その右奥は茶臼岳です。八幡平頂上は源太森の手前 森の中にありますが経由しません。登山道は左下から中央の方に伸びています。

 八幡平の景色の中でも世界的に有名になった「ドラゴンアイ」(=鏡沼)の近くから連なる火口列は、すぐ上の眼鏡沼(2つ一組)、下の写真の下方に見える赤茶色も水を沈める無名の沼、同じく中央に緑青色の水を湛える「ガマ沼」、奥に一段低く湖底に7つの火口を沈めている八幡沼 …と見えてきました。 奥の源太森・茶臼岳と岩手山のすそ野もはっきりしてきました。

 ↓ ガマ沼を俯瞰しながら南縁を横に回って行くと、遊歩道(上方左右を横切る)や、2か所の展望台からは見えない沼や湿原・池塘を観察することが出来ます。ここに立ち入ることが出来るのは積雪のある期間だけですが、その時期に行っても雪面の凹凸があるだけで、今回のように草紅葉が始まって緑とのグラデーションを楽しめる状態ではありません。
 大きな二つの水面が見えますが、左がガマ沼、右が八幡沼です。写真では同じ高さに見えますが、八幡沼の方が24mほど低い所にあります。
 上空からの景色を見るには、手軽な方法としてはネット上の各種地図サイトにある衛星・航空写真を見る方法があります。この方法は全国くまなく観察できますが、視点がはるか上方からしか見られません。また撮影の季節も製作者の都合で決まってしまうので、冬期・積雪期である場合には登山路などの情報は読み取ることができません。この記入時点でGoogleマップではこの区域は冬景色しかありません。また解像度もあまり高くありません。
 このようなわけですが、昔から、いつかは自分が遊覧飛行で上空から撮影したいという夢を持っていました。
 右写真の白い部分はガマ沼と八幡沼のそれぞれに向けた展望台です →
 ↓ 山小屋の崚雲荘から八幡沼の北岸に沿って東に進みます。
 八幡沼を周回する木道に沿って東進すると、道の右に左に池塘が見えます。木道を歩いている際に見える池塘は地面すれすれの横方向から見える形状なので、大きさも形もよくわかりませんが、上空からだととても不思議な形が続いています。

  この区間を含む、動画はこちらからご覧ください
 八幡沼の東端にやってきました。上の写真の三叉路を左に行くと 源太森(左上の台形)経由で、茶臼岳(右奥)や安比高原・前森山まで至る50kmトレイルの北端に至る道に繋がります。右へ行くと八幡沼の南を経由して見返峠に戻ります。
 沼が三つ見えますが、遊歩道から見えるのは下の一つだけで、上の2つは見えませんし、近づくことも積雪期以外は出来ません。
 右写真は右上が八幡沼ですが、左下は無名でこれも積雪期以外は接近できない沼です。私はスキーを履いて5月に訪れたことがありますが、全面が積雪に覆われていてただの窪地という感じです。
 見返峠駐車場の現在は、レストハウスは県境を挟んで地下で繋がった1棟がありますが、以前は岩手側と秋田側にそれぞれの物がありました。 本当の見返り峠は空撮映像にも出てくる、旧トイレ棟のあたりのようですが、アスピーテラインに付帯して設置された駐車場に、最寄りの峠の名称を採用したものと思います。
 離発着地点の畚(モッコ)岳(写真左下)に戻ってきました。背後には、今回って来た八幡平頂上方面が見えます。右寄りの縦方向に見える道路は、藤七温泉から「見返り峠」に至る樹海ラインの北端です。この後は車で移動して大揚沼の空撮に向かいます。

 畚岳から下って藤七温泉の前を通り、樹海ラインを松川温泉方面に少し進みます。東方に大揚沼が見えるあたりから出発してまた遊覧飛行に出かけます。左上写真の遠方にはやや雲がかかった岩手山が見えますが、その右下に見える黄緑の草原を目指します。次第に近づくと、ここはただの草原ではなく不思議な形をした池塘をたくさん抱えた湿原であることがわかります。上の地図では中央下部になります。
 動画はこちらからどうぞ
 この湿原も、次の大揚沼も、以前から行ってみたいところの一つでした。しかし前者は道が無く、沢沿いに下るしかなさそうです。後者は地形図上には道があるものの、おそらく現在は利用者も少なく藪漕ぎを強いられそうです。転倒や滑落や道迷いや熊との遭遇等々、危険も想定されます。
 それに現地に到達できたとしても、視界が開けている保証はなく、視点も自分の身長以上からは眺めることが出来ません。出来れば肉眼で眺めたいのですが、総合点ではドローンで観察するのが、きれいな記録も撮れるので勝っています。
 
 湿原に映る雲と青空をぐるぐる回って楽しんだ後は、茶臼岳(上の写真にあるピーク)方向にある大揚沼に向かいます。沼の周囲はやはり大部分が藪で密林に覆われています。こちらも人里離れてぽっかりと開けた別世界です。 また一つ、行ってみたかった所に到達できました。