「北部陸中海岸」  2016.07.16〜17
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 私の出かけるフィールドとしては、本人が泳げないこともあって、どうしても海より山が多くなってしまいますが、まだ十分に楽しんだことのない場所が海岸にもありますのでたまには出かけてみます。
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 「三陸海岸」の名称は、陸前・陸中・陸奥の三つの陸をとって総称しているとのことです。北部陸中海岸となると有名なのは海のアルプスと呼ばれる北山崎のあたりの断崖絶壁が連なる部分ですが、私が行ってみて気持ちの良いところの一つとしてもう少し北の黒崎展望台(下のGoogleEarth、「北緯40度」のあたり)があります。
 海抜178mの断崖上に広い駐車場があって、その一角から久慈市のあまちゃんのぶたいとなった小袖海岸がある半島のあたりを見渡せます。私が以前から行ってみたかったところは眼下に小さく見える入江です。防波堤がありますので人が利用できるようになっているはずですが、よく見ると小さな隧道があって遊歩道が巡っているようです。あとで知ったのですがこの区間は含まれていないものの、国立公園をはじめとした多くの海岸線が「みちのく潮風トレイル」という環境省が海辺の遊歩道をかなりの長距離にわたって設定しているようです。しかし海辺の道は山道よりもさらに維持が困難であることが多いです。

←黒崎展望台から見下ろしたネダリ浜
 海岸から相当高い黒崎展望台の標高でもハマユリが断崖に咲いていました。なかなかちょうどよい咲き頃に、海辺の開花スポットにやってくることはありませんのでラッキーでした。
 展望台の近くに歩道の道標がありました。なんと、ここからネダリ浜まで降りてゆく道があるようです。でも今回はその覚悟と時間がありませんでしたので、せっこきして車で降りてゆきます。リンク先地図でお分かりのように、かなりの急こう配です。こんなに坂が急だと、帰り道にATトルコンがスリップしたりオートマオイルの過熱で帰ってこられなくなるんじゃないかと心配ですが、トヨタのカムロードを信頼して降りてゆきます。
 ちなみにこれまで深雪の切り返しなどでタイヤの抵抗が大きくなって進めない(タイヤ表面ではなく、トルコン部分でスリップ)ということや、やはり急な登りの深雪でオイル温度上昇警告灯が点いたことがあります。
 下りきったところには立派なトイレと休憩室がありましたが、残念ながら施錠されていました。使えない設備をなぜ作るのでしょうかね。
 遊歩道の補修に関わる工事でしょうか、プレハブの現場事務所とパワーショベルが置いてあって、この日は休工中のようでしたので、浜辺を少し散策させてもらいました。もう一人軽トラックでおじさんが来ていて、中で歌の練習をなさっていました。誰にも気兼ねなく、大自然の中で自分の好きなことを楽しむ。これも素敵な過ごし方だと思います。

← 上の写真を少し進んで振り返ったところ
 北海道の知床あたりに行くとよくありそうですが、海辺の断崖から滝が下りてきているところもあります。
 それから初めて見る海浜植物が下の写真です。2段下の花はハマヒルガオだと思いますが、右下の花は何というのか、時々調べているのですがよくわかりません。高潮の時にはもろに海水に洗われ場所に生えています。海浜植物・青紫色などで検索するのですが、見当たりません。
 この潮飛沫(しぶき)がかかりそうな岩場にもハマユリが咲いていました。波打ち際は、この時点で干潮でしたので、荒波で破壊されたコンクリート造りの護岸や遊歩道に上がったり、また海辺に降りたりしながら先へ進んでみます。
 
 夏の藪に包まれた遊歩道(跡?)を少し上ると、上の展望台から小さく見えた隧道の入り口が見えてきました。
 照明のないトンネルを進むと未知の世界が開けま・・・?
 開けた世界は工事中立ち入り禁止ですが、反対側からのアプローチにより、向こうのほうで土曜日なのに一生懸命工事をされている方がいます。崖の上から何本ものローブがさがり、海辺の厳しい自然の風食により崩れた遊歩道を直しています。波による直接の浸食のほかに、熱の変化や凍結・解凍の繰り返しで岩は脆くなり、絶えず小さな、時に大きな崩落を続けています。人が遊びで往来するには危険が多すぎるのかもしれません。
 陸中海岸シーサイドラインを北上すると、普代村で国道45号に戻ります。その少し手前に何か所か防潮陸閘門をくぐります。ちなみに水路を仕切るものではないので「水門」ではありません。
 左写真の陸閘門にはマークがありませんでしたが、この手前で通ったところでは、防潮堤高さの少し下に津波到達水位のマークが入っていました。つまり普代では事前に十分な高さの防潮堤を整えていたために市街部の被害を受けないで済みました。どれくらいの高さに設定・施工するかを選択する際に、時の首長がかさ上げ設定したおかげだと読んだ記憶があります。「過剰な設備」に終わるのか、「命を守った堤防」になるのか・・・これはその時の災害の程度や時期や位置などが絡むので簡単には答えが出ませんが。こちらではとにかくうまくいったことは確かです。
 久慈市の道の駅で夕ご飯のおかずとお酒のつまみを購入した後、農道経由で道の駅大野に向かいます。おおのキャンパスとも呼ばれる複合施設で、入浴・宿泊・農場・ゴルフ等の他に、天文台もあります。この日は残念ながら星空は望めないようでした。
 以前に立ち寄った際には気が付かなかったので新築されたのかもしれませんが、立派なトイレ専用棟があります。既存の立木をうまく取り込んでレイアウトしてあります。元の職業柄、トイレを見ると観察したくなるのですが、こちらもあちこち見させていただきました。
 上の写真〜自動ドアの入り口がこちら側と向こう側にあってホールを挟んで通り抜けられるようになっています。ホールの左右に男女とバリアフリー用途の設備があります。少し私的に違和感があったのが、ホールから男女のエリアに入るところに手動のスライドドアがあったことです。最近のトイレは殆どがドア無しで、うまく視線を遮る構造になっています。閉まるのは錘かバネで自動ですが開くのに手で取っ手をを掴まなければなりません。屋外に直接つながっているのであればやむを得ないのでしょうが、内部ホールからの移動にはこのドアは無駄というか、不潔ではないでしょうか。
 設備機器は最近のトイレはどちらでも立派なものが装着されています。これが何十年か前だと、盗難や破壊の心配があったのですが、皆さんの意識レベルが向上してきたためでしょうか、ひどい扱いを見かけることもなくなってきました。 機能的にあえてあら探しをすると、たいていのトイレに言えるのですが、予備のペーパーをすっきり専用の場所に置くようになっていないことが多いです。あまり多く置いてもペーパーの盗難はまだ発生することが多いですし、無くなる前に次の点検清掃に入るので大丈夫なのかもしれません。
 お湯が出ますが、熱源はカウンターの下にある電気温水器のようです。最近の比較では、意外に電熱での湯沸かしはコストが安いようです。ボイラーなどの大掛かりな設備より安価・コンパクト・維持操作も簡単と活躍の場が広がっています。
 洗面台の上には管理されている方の気持ちが伝わる、野の花?が活けてありました。右下写真はホールの逆側出入り口から見たところです。
 夕刻にはだんだん車中泊の車が増えてきました。魅力的な車としては、マイクロバスのショートタイプに架装した車(左の写真)です。多くのキャブコンと違って、運転/助手席の部分も他の部分と同一幅があり、安心感は最高です。室内レイアウトがどうなっているか興味があります。バンクベッドは配置できないような気がしますが就寝定員はどれくらいなのでしょう。食事テーブルを片付けないで寝られるでしょうか。それから駐車場の心配ですね。日本のキャブコンは殆どの輪止め式無人駐車場に入りますが、これはたぶん無理でしょう。そして何よりの心配事が価格ですね。一千万を何百万円超えているのでしょうか。憧れますが、現実的な選択にはならないと思います。
 翌朝やってきたのは、種市町のうにまつりです。実はこれが主目的だったのです。でも事前に海の状態が悪くて十分な量を準備できていないことがHP上で知らされていましたので、ダメモトで行ってみました。3時間も前から雨にも関わらず人が並び始めています。山用のオールウェザースーツを来て椅子も持参しましたが、係の人に聞くと、殻付きのウニは無しで、ビン入りのむき身も県内の相場から特別に安いというほどではないようでした。ウチの好みとしては、殻付きで購入して、むきながらワタも賞味したいので、あと3時間も並ぶ元気がなくなりまして、早めに帰途につきました。
 せっかく準備をいただいた皆様には申し訳ありませんが、また来年来てみようと思います。