「世界遺産橋野鉄鉱山 採掘場跡」    2015.09.23
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 明治日本の産業革命遺産 橋野鉄鉱山 の採掘場跡が初めて一般公開されました。高炉跡付近は常時一般公開されていますが、3kmほど山奥にある採掘場跡は普段は公開されておらず、この日が初回一般公開です。一時間と少しで電巻室跡と865m坑口に着きます。
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 橋野町の中でも青ノ木と呼ばれるこの辺りは、釜石市街からは車でも40分以上かかりますので、なかなかしょっちゅうは行かないところです。でも中学生の頃真冬に自転車で高炉跡を見に来たことがありました。その少し前には当時皇太子夫妻が見学に来たこともあると記憶しています。凍える寒さは今でも思い出します。帰りに現在も営業している橋野食堂に寄ってラーメンをいただいて温まったのでした。
 40年ほど前には各種遊具がそろった遊園地がありました。モノレール状のコースを足こぎの車両で周回するものなどが記憶にあります。
 左写真の下側にはスケートコースもあって、冬以外にはローラースケートで利用できました。キャンプ場やテニスコートもありますので、外遊びするには良いところですが、公共交通機関は途中までのバスしか無いので、世界遺産になってからは釜石駅前から期間・曜日・時刻限定の見学者用バスが出ているようです。インフォメーションセンターは冬季休館ですが、十分な駐車場は通年使えます。
 一般的な説明は釜石市のHPをご覧になるか問い合わせください。
 世界遺産の登録が進んできた頃に、採掘場の辺りも遺産指定範囲に含まれることが地図でわかりました。高炉跡は何度か行っていますが、採掘場・運搬路跡は見たことがありません。しかもそのあたりは一般公開されておらず、坑口近くになると釜石鉱山の社有地で、門扉があって施錠されています。(2段下写真)

 今回の一般公開に先立って、報道機関を対象にした公開がありましたので、機会を待っていたところ30名限定で一般の人も現地まで案内してもらえる機会を設けていただきました。


右写真はインフォメーションセンターの近くにある高炉跡(3基)等の見学区域です

 下の地図の緑の点線のさらに上方からスタートして、往復しました。この辺りの鉱脈に沿って地下には網の目のように坑道が巡らされていて、橋野・大橋・佐比内の坑道は中で繋がっているそうです。
 高炉も図の右下の旧国道R283から下った大橋のあたりと、 図の左下にある用水ダム湖の湖底にもあって、後者は水を抜くと現存を確認できるとのことです。
 地図の縦横のメッシュは500m間隔の経緯線、青緑の斜め線は磁北です。
 地図右下の大橋(蟹岳)の坑口については、現在も仙人秘水というミネラルウォーターの採取製造で使われていて、内部見学会もたまにあるので見たことがあります。
 地図左下は遠野市になりますが、佐比内坑はバイクで30年ほど前に行ったときにはかなり山の上まで上り、そこに坑口が開いているところまで確認したことがあります。数年前にも麓の坑口まで行きましたが、崩落して奥のほうが見えない状態でした。機械設備の入った建屋が残っていました。

 さて、途中休憩したり川を渡ったりしながら採掘場跡にたどり着きます。動画はこちらからご覧ください

 右の広場は865m坑口の前にある電巻室跡です。電巻室と言うのはワイヤーロープを巻き上げるウィンチ設備のことです。坑内には斜坑があってそこを上下するトロッコをこちらで操作したようです。斜坑を下ると大橋側から来た坑道のレベルに繋がるそうですが、今は坑口も閉鎖されていて内部を見たり体験することは永久に出来ないものと思います。
 こちらは比較的後期のもので、動力を使った近代的採掘が行われていた所です。
 電巻室跡から、急斜面の山道をたどって露天掘跡に着きました。周囲の岩石は赤錆色で、磁石が付きます。岩の崩落の危険や、割れ目に足が入ったりすると骨折の危険もありますので十分な注意が必要です。採掘当時には多くの危険や困難があったものと思います。当時の人たちの苦労がしのばれます。

 動画はこちらからご覧ください。

 帰り道はこれも遺産の構成要素である「運搬路跡」をたどります。当時は急斜面は人肩、ややゆるいところは牛の背に荷を乗せて運んだのだそうです。

 出発してから高低差250mを約3時間ほどで往復して戻ってきました。
 明治日本の産業革命遺産については、この他に長崎県の軍艦島と、佐賀県の三重津海軍所を見学したことがあります。特に前者はインパクトもありすごいところです。釜石の橋野鉄鉱山はアクセス・交通機関の便ともあまりよくはありませんが、大砲等の製造に必要な質と量を持つ鉄の生産を通して、近代化に貢献したという点では、遺産として重要な役割があったことがわかります。

 岩手県内陸部経由でのアクセスでは、車の場合には遠野市から笛吹峠を越えて30分ほどです。大型バス等で釜石市街経由となると、遠野市から80分位を要します。でもこの世界遺産をより深く楽しく理解するためには、釜石市街を経由して大平町にある「鉄の歴史館」を併せて事前にご覧になることをお勧めします。

 採掘場跡、運搬路跡の一般公開については、今後年間2回程度を予定しているとのことですが、定員がありますので予め担当部署に確認されてください。