「八幡平周遊」  2014.07.05-06
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 毎年「今年も帰ってきた」と思えるポイントをまわります。その一つが八幡平頂上周辺です。今回は気軽に歩けるところに立ち寄りながら、合計7箇所にもなりました。本当はまだ立ち寄りたいところがあります。

 
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 金曜日からの前泊は、雫石町にある道の駅あねっこです。温泉つきの道の駅として利用することが多いのですが、この金曜日はポンプの修理中とかで温泉はお休みのようでした。
 土曜の朝、岩手側は曇りですが、県境の仙岩トンネルを抜けると青空が広がっていました。梅雨時には太平洋側がヤマセの影響で霧が多く、日本海側は意外に晴れていることがおおくあります。
 最初に宝泉湖畔のダム近くで休憩します。カリヨンの鐘を鳴らして次に向かいます。


●ポイント1 玉川温泉の噴気地帯
 下の地図の左側から赤線の国道を通ってやってきますが、玉川温泉ビジターセンターの駐車場に車を止めます。これまで「玉川温泉」と「新玉川温泉」を別々に訪れたことはありましたが、連絡通路から行ってみた事はありませんでしたので、そこを歩いて行きます。ビジターセンターの裏手からになりますが、民間の保養所があるのを知りました。一般の人も利用できるようです。昼食もとれます。
 十分もかからないで玉川温泉に到着します。ここからは噴気地帯を散策します。岩盤浴専用の上屋がかかっているところもありますが、あちこちの地面が地熱で暖まっていますので、天気もよく、皆さん思い思いの場所に寝転がって楽しんでいます。
 焼山経由で後生掛温泉に抜ける登山道がありますが、その入り口に焼山非難小屋は倒壊の恐れがあるために利用できませんとの掲示がありました。登山口に掲示をしていただけると助かります。親切ですが当たり前のことです。
 現在の立替前の小屋が30年近く前に老朽化で倒壊した際には、なんと!小屋の前に利用禁止の掲示があって、登山口にはありませんでした。管理する人のお役所仕事にあきれて苦言申し上げて、掲示してもらったことがありました。
●ポイント2 大場谷地

 大場谷地にやってきました。ニッコウキスゲが咲きはじめです。国道近くにはあまりまだ咲いていませんが、少し木道を奥に行くとたくさんあります。でももっとたくさん開く日が来そうです。

 他に蓮華ツツジ、ワタスゲもたくさんです。お花畑の中の天国のような道を木道の終わりまで詰めて、もう少しナントカの滝という所まで行こうかとも思いましたが、位置がわからないので戻りました。


←レンゲツツジ  左下:ワタスゲ 遠景と近景
 ↓木道の最奥部。ここから小川沿いの道になる。ここまでの木道には草が多く覆いかぶさっている
●3つ目のポイントは(秋田の)大沼です。
 岩手側にも大沼がありますが、そちらは遊歩道などは無く、藪の中です。ヘリコプターの遊覧飛行で上空から見たことはあります。
 まずビジターセンターを見学します。以前と違っているのが、「宿泊禁止」の大きな掲示があることです。こちらのトイレのあたりは屋根の下になっていて自転車やバイクの旅行者には重宝しそうな場所ですが、駐車場における自動車の宿泊?やテント泊、キャンピングカー泊も禁止ということです。マナーの悪化など禁止せざるを得なくなった「正当な」理由があるのか、または某中学校の校長のように事なかれ主義で「何でも禁止にしてしまえ」という発想なのか、事情を知るには情報が不足しています。ですが、後で述べる見返り峠の状況を見ると、国立公園の管理者が業務の手抜きをしているのではないかと想像できる面もあります。
 
 さて、気を取り直して大沼を一周する道に入ります。
 大沼を一周する道の途中からは、かつて下流にあった澄川温泉に向かう枝道があったのですが、現在は温泉地自体がなくなりましたので歩道もヤブに閉ざされてしまったようです。
 この沼の成因は、火口湖という説と断層湖(土砂崩れ等によるくぼ地)という説があるそうです。澄川温泉の例を見れば断層湖のような気もしますが、御生掛温泉の周辺の泥火口に近いような気もします。わからないところでいいのかもしれません。


 大沼・ビジターセンターから後生掛温泉まではアスピーテラインですぐですが、秋田八幡平スキー場に面した迂回路があって、そちらにもホテルや入浴可能なところがあります。

●4つ目のポイント、後生掛温泉の遊歩道を回ります。
 
 
 源泉のあたりを過ぎると、売店があって名物の黒たまごを売っています。半熟と完熟があって、二人で1個ずつ買っていただきます。
 
 数分の遊歩道を回って行くと、泥火山があってポコポコと吹き出た泥が積もっています。近道と合流すると大湯沼が湯気を上げて活動しています。真冬にも雪をかきわけてやってきたことがありますが、夏のほうが気温の関係で少し湯気が少ないような気もします。

 さっき回ってきた遊歩道の向こうに明日登るモッコ岳が見えます。戻って温泉にゆっくりと浸かり、売店でアイスを買い、車に戻ります。
●5番目のポイントは、蒸の湯(ふけのゆ)に車を置いて歩いて行く、大谷地とその先にある長沼です。

 数分で大谷地に着きますが、道が分かれていて大沼、蛇沢沼へ行く道の他に、長沼経由で八幡平頂上方面へ向かう道があります。30年近く前に、岩手側の茶臼岳から登って頂上を経由し逆コースで蒸の湯まで降りてきたことがありました。今よりはだいぶ健脚でした。

 左下は蒸の湯の噴気地帯
 大谷地もその頃に比べると湿原の高さが上がってきたような気がします。アスピーテラインが開通する前にはこちらが秋田からの主なアクセス路だったと聞いたような気がします。以前に見たときには谷地の中央に石垣で組んだ車も通れる道があって、生えてきたワタスゲを刈り払った後がありました。
 下の写真のワタスゲの群落は規模も密度もこれまででイチバンでした
 大谷地から長沼までは少しの登りになりますが、その手前に小さな沼があってモリアオガエルなどもいるのですが、その畔にキヌガサソウが数輪咲いていました。咲いたばかりと違って少し花びら(に見える白かった部分)が、やや緑色かかっていました。
 標識柱を熊がかじって傷んでいるくらいなので、このあたりには熊が多く居るものと思われます。なので鈴を2種類と熊撃退スプレーをいつも持ち歩いています・・・とおもいきや、スプレーを忘れてきました。

 息を切らして坂を上り、沼へは少しのくだりになります。先に畔に着いた妻が右側の湿原のあたりを見るなり、「あれ、熊じゃない!?」といった方を見たら、小熊が走って逃げて行く(動画)が見えました。幸い距離が150mくらいありましたので危機感はありませんが、近くに親熊がいるかもしれません。スプレーも忘れたことなので長居しないで戻ることにしました。熊の動画は小さくて黒い点のようにしか見えませんが中央から左に走ってゆくのが見えます。ご覧になる際には小さな画面ではなく、全画面フルハイビジョンに拡大してごらんください。




 そしてこの日の宿は
、毎年泊まりに来る「八幡平頂上ホテル」です。
(レストハウスはありますが宿泊施設は無く、見返り峠駐車場におけるPキャンのことです)
 秋田側の蒸の湯から標高を上げて来ると、雲の底の天井が段々近づいてきて、やがて霧の中に飲み込まれてしまいました。でも頂上ホテルに着いてしばらくすると天井があちこち破れて日差しが斜めに差し込み、焼山の肩に沈む夕日も望むことが出来ました。風は弱いのですが、気温は少し下がってきました。窓を開けて眺めたり、寒くなると閉めてビールをいただきながら日没の変化を楽しみます。

 夏至からまだあまり経っていないので、夜の長さは短い季節です。こちらのホテルに泊まると自動的に日の出時刻近くになると目が覚めます。
 昨日19時頃に西の地面に隠れた太陽は、夜の間に地面の下を半周して、東の地平線からまた現れます。八幡平頂上ホテルに泊まると、多少山にはかかってしまうのですが、ほぼ地平線に沈んで地平線から上る太陽を観察できます。
 この日は3時半頃に外の様子を伺うと、あまりきれいな日の出ショーにはならない感じでしたので、せっこき※して車内で布団に入ったまま、4時半頃まで日の出の変化を楽しみました。もっときれいになりそうなときには、駐車場の隅にある展望台に上って眺めることもあります。

※ せっこきとは、当地の方言でものぐさ。よく言うと合理的な方法をとること。

 ↓下は次第にシルエットがはっきりしてきた岩手山。右下は焼山の向こうに見える森吉山
●6番目のポイントは畚岳です。

 八幡平周遊の二日目の朝はまず畚(モッコ)岳に上ります。車を止められるところから往復40分ほどで頂上を極めてこられます。草露がまだ残っているので、スパッツを着けて歩き始めます。他にも3パーティほどいましたが、皆さん畚岳までという方は居なくて、松川温泉まで縦走するそうです。車は貸し切りバスを回したり、タクシーで戻ってくるという方も居ました。
 6月下旬前後は花たちがきれいな季節ですので、道の右に左に楽しみながら進みます。
↓ 畚岳頂上 とイワカガミ
見返り峠駐車場方面 ↓
↓秋田駒ケ岳遠望
●7番目のポイントは黒谷地です。

 八幡平周遊の最後のポイントは黒谷地です。こちらでもたくさんの花たちが迎えてくれました。
 右はシラネアオイ、右下はモウセンゴケ

 
↓ チングルマ ↓ヒナザクラ
↓ 黒谷池展望台から

 二日間、今年も八幡平の花や景色(と熊も)をゆったりと楽しんで来ることができました。