「秋田の温泉めぐり 他 2012」              2012.09.15〜17
 今回の旅の最初の目的地は、昨年も訪れた玉川温泉の近くに湧く温泉(昨年の状況はこちら)に入ることです。その後は行く先未定で、秋田県南をゆったりとまわります。 
 例によって田沢湖町のビフレ(旧スズフク ユーマート)に立ち寄って2日分のおかずなどを購入して玉川温泉方面に向かいます。国道341号を北上し、宝仙湖畔、鳩の湯跡を過ぎて林道の入り口にさしかかりました。ところがなんと!!通行止めになっています。しかも絶対に普通の車両は進入できないように、入り口にはダンプ数台分の砂利が山盛りになっています。これは退散するしかありません。
 ・・・しかし、この先には山菜取りや遊び目的の人が入るだけではなく、水力発電所の取水口を管理する業務目的で通行する人も居るはずです。その方々はどうするのでしょうか。
 その答えは、後刻立ち寄った新玉川温泉付近の道路から進入する別ルートを開通させてあったのでした。このルートは昨年の調査では樹木が繁茂した上に、やはりダンプで土砂が盛ってあり通行不可能でしたが、多分迂回ルートとして復旧させたものだと思われます。
 (昨年時点の通行止め箇所は、ここからここまでです)

 別ルートでの迂回が可能なことは後からわかったことですので、通行止めの看板を前にして、急遽行く先を変更しました。3年ほど行っていない、焼山山麓の湯ノ沢です。スタート地点は澄川地熱発電所を選びました。(最短&楽なコース)
 澄川地熱発電所は私の知るところでは奥羽山脈沿いの地熱では最も新しい発電所です。構内には東北電力のPR館があって何回か見学させてもらっているのですが、震災&原子力発電所事故の影響のせいか、休館中でした。翌日に回った泥湯温泉近くの同じくPR館も休館中でした。もともと見学者は多くはなかったようですが、このようなご時勢だからこそ、地熱発電普及のためにがんばって欲しいと思います。
 一方登山者にとっては、ここから入山するルートは、後生掛温泉からベコ谷地を通って焼山に至る登山道をショートカットするには最短の車両進入場所になります。
 発電所が完成する前からこの焼山登山道を利用させてもらっていますが、完成直後にこの構内を通って登山ルートに出ようとしたところ、運営会社の方に注意されました。わけを話して通してもらいましたが、国立公園の利用について、営利企業は良くて、一般登山者が通行するのはダメ・・・ということでは納得できないなと考えていたところ、発電所の外を迂回する登山道がまもなく設置されました。
 上の写真は登山道と、発電所からショートカットする道のT字路にある標識柱ですが、熊が齧ったのか、一部の文字が欠落して見えません。
 ともあれ、焼山の登山道に入って50分ほどの、ほとんど平らな登山道を通って湯ノ沢に至ります。途中には左写真のような小さな湿原・草地があったりします。
 このコースは秋田八幡平のビジターセンターで時々企画募集して、後生掛温泉から周回するコースとしてやや多くの人たちが通るようですが、メジャーなコースではないため時々藪がひどくなって、道を暗記している人でなければ通過困難になったりします。でも数年に一回刈り払いをしていただいているようで、今年は道は開けて非常に通りやすい状態でした。
 反面国土地理院の2万5千分の一地形図には、数年前から湯ノ沢付近については掲載されなくなったようです。リアルタイムで現状と地形図を合致させるのは無理なのかもしれません。もっとも私のような楽しみ方をしている者にとってはそのほうが面白いのですが・・・。
 上の写真は登山者のカウンターです。同様のものを蔦温泉の遊歩道で見たことがありますが、この結果によってコースの整備方針に影響が出るのかも知れません。
 夏の盛りも過ぎてほとんど汗もかくことなく湯ノ沢に到着します。早速手を入れてみて、適温のところを探します。今年は気温が高かったせいか、いままででも最も下流のところでの入浴となりました。
 それにしても大自然の中で人工物の一切ないところで裸になって入浴するというのはどうしてこんなに気持ちいいんでしょうか。青い空と流れる雲、緑の山肌、お湯のせせらぎの音。これなので秘湯通いはやめられません。
 この模様も動画で記録してきましたので下記リンクからご覧ください。本当は本人出演部分もあるのですが、割愛させていただいております。
 YouTube動画へリンク↓
 
澄川地熱発電所から湯ノ沢まで(往路)
 焼山湯ノ沢の湯船などと復路

 
 この動画記録はNHKの番組「おはよう日本」の中の、とれたてマイビデオで紹介いただきました。(平成24年10月3日午前5時25分頃) なお「月刊とれたてマイビデオ」でも10月28日16時〜 に放送されましたご視聴いただきました皆様ありがとうございました。
 国道341号を南へ戻って、本日のお風呂をいただく新玉川温泉に向かいます。隣接してビジターセンターがありまして、これまで見たことが無かったので展示を見学します。
 玉川温泉は、昨年も入ろうとしましたが夕刻で外来入浴受付時間を過ぎてしまっており、玉川温泉の方に回りました。今年も同じ失敗をしそうになりましたが、ビジターセンターの職員の方の助言で思い出しまして、すぐに玉川温泉に向いました。
 浴場内部の基本的な作りは、玉川温泉と同様ですが、こちらにはやや深めの歩く湯船や、岩盤浴(人工、外来入浴者は利用できない)の設備もあります。
 玉川温泉は冬季間も営業しているようですが、豪雪地帯のために交通手段は田沢湖駅前からの定期バスのみになります。玉川温泉までは直線距離はあまりありませんが、そちらの自然の中の岩盤浴へ治療目的で訪れる方のために雪上車を運行しているようです。
 お風呂に入って気持ちよくなった後はこの日の宿、宝仙湖の玉川ダムに向います・・・が、いつもの「変な道を通ってみよう」という気持ちが起こって、こちらの橋を渡って湖の東岸を南下することとします。ものすごい遠回りをして小和瀬発電所南玉川温泉の前を通り、男神橋を渡ってR341に戻りましたが、同乗の妻にはあきれられてしまいました。このコースは20年ほど前にバイクで通ったことがありましたが、キャンピングカーで通行できるかどうかはやや不安でしたので、通行量の多い道に戻ったときには正直ホッとしました。
 
 ↑ 二つ上は男神橋から見た宝仙湖です。その下は焼山

 この年の少雨の影響で宝仙湖はほとんど干上がっていました。
ダム管理事務所の横の駐車場でPキャンとします。買ってきたお刺身などをいただきながらビールをのみます。至福のひと時です。
 湖畔のトイレはまた改良整備されていて洗浄便座つきになっていました。翌朝は少し移動して、茶立ての清水で朝食にします。
 次に向ったのは、美郷町にあるラベンダー園です。シーズンは過ぎていますが、経験上ラベンダーの花は11月頃まですこしずつですが花が開きます。
 グランドなどの設備も併設されていて子供と保護者が集まっています。園内には遊具もたくさんあって、年甲斐も無く乗ってみたくなるのですが、体重制限が表示されていますので、私は完全に無理で、妻(40kg前後)もだめなようです。残念。

 そして美郷町といえば湧水群です。少雨のために枯れているかと思いましたがほとんど大丈夫でした。その中で御台所清水では野菜を洗っていたりしますが、すぐそばの民家では野菜を売っていまして、茄子の漬物もあります。一袋200円でおいしそうなので買ってその日のおかずに加えます。秋田の漬物は程よい甘みがあってとてもおいしく味わえます。
 対して岩手の漬物は塩味ばかりが強くて、地元のなれた人は普通に食べていますが、県外の人からの評価はあまり高くないようです。
 ↓茄子の漬物樽
 こちらの湧水群に来るのは3・4回目ですが、いままで見たことの無い湧水もありましたので、地図を頼りに少しはなれたところも見学します。大工清水、馬洗い清水もまた町の中と違った趣があります。
 その湧水からあふれ出た水が水路を通って流れてゆきますが、水路の底を見ると、よくあるU字溝ではなく、底に石や水草がくっついています。(右写真)小さい時の記憶ではこのようなところにはドジョウが住んでいますので、歩きながら観察するとやっぱりいました。買ってもらったざるを持って、足でたぐりながらドジョウ獲りをしたものでした。
 次にやってきたのは、ここも毎年のように来る泥湯温泉です。今回はお風呂はいただかないで足湯だけにしましたが夏の終わりで湯温が下がらず、熱くて長く足を入れていることは出来ませんでした。

 売店で黒卵と岩魚の塩焼きと玉こんにゃくとラムネをいただきます。こちらの黒卵(たぶん温泉成分で殻が黒くなる)には次の説明文が添えられています。、
「一ヶ食べると三年長いきをする 二ヶ食べるとその位長生きをする 三ヶ食べると死ぬまで生きる 泥湯温泉名物温泉卵」
(原文のまま)ということです。
 泥湯温泉から小安峡の上流部にある滝と案内所(説明省略)を経由して、須川温泉に向います。その少し秋田側に泥炭地があります。
 写真ではただの湿原のようですが、段差があって、断面を見ると確かに泥炭が露出しています。遊歩道があって一周して来られるようになっています。
 シラタマノキが群生しているのが案内板に書いてありますが、ちょうどそのシーズンでした。他に小さなトンボが飛んでいるのがめずらしかったのですが、ハッチョウトンボほどは小さくないようで、種類はわかりません。
 また少し峠の方に進んだところにあるこちらの湿原を散策します。いつもそばの国道を通過しながら見るだけで、歩いてみたことはありませんでした。誰も整地や草刈をしたわけではないのですが、自然にこのような景観ができていることに感謝して歩いてゆきます。こちらにもちいさなトンボがいまして、なんとかつかまえようと努力してみたのですが、素手や帽子ではムリでした。
 栗駒山の頂上に少し雲がかかっているのが見えますが、このあと陽が傾いてゆくとだんだん霧となってこの高さにも降りてきました。

 やっと須川高原温泉に到着しまして、昨年と同様に遊歩道の途中にある まんじゅうふかしの湯小屋に入って、しばし背中の辺りを暖めて気持ちよくなります。

 須川高原温泉は30年ほど前にフォークダンスのサークルのレクリエーションで自炊部に一泊して、翌日栗駒山に登ったことがありました。山の斜面に沿って段々に宿泊室が階段で繋がっています。いちばんおくの部屋が割り当たったりすると大変です。
 館内には大浴場の他に小さな男女別のお風呂もあったりしましたが、今はどうなっているのかよくわかりません。

 母屋とは離れてある露天大浴場に入ります。温泉に入るときに気をつけなければならないのが、清潔保持が目的の入浴の場合、アタマを洗うことが出来るかどうかです。「源泉かけ流し」だけの温泉の場合、硫黄泉など臭気の強い湯水で髪を洗うわけには行きません。
 受付で聞いてみたところ、シャワーではないけれども、蛇口からは普通の湯水が出ます・・・とのことでしたので安心して入ります。広大でプールのような露天風呂です。

 親子連れから高齢者までいろんな年代の方が気持ち良さそうに、縁に腰掛けたり、首まで浸かったりして白く濁った温めのお湯を楽しんでいます。
 三箇所ある洗い場でごしごしと洗っていると、隣に来たおじいさんが、シャンプーとボディソープのボトルの区別が付かないで困っていたので教えてあげました。確かにこの二つは表示が英語だけだったり、小さかったり、薄れていたり、コンディショナーも含んで三種類あったりと、戸惑いやすいのもたしかですね。

 お風呂上りには駐車場の西側の隅でPキャンとして、日本海に沈む夕日を眺めながら晩御飯をいただきます。
 栗駒山の頂上の方にあった雲が下がってきてあたりは夜霧に包まれてきました。今度は流れるお湯の川で足湯を楽しみます。やや暑いのですが周りの空気が冷たくなってきたのでなかなかいい具合です。


 今回も温泉をたくさん楽しむことが出来ました。秋田はいいところです。