「秋田県 栗駒から仁賀保へ」
  2010.10.16
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 栗駒山の辺りは平成18年の6月に大きな地震が発生して人的・物的な被害がありました。道路関係では、岩手秋田の県境にある須川高原温泉に至る道路もしばらく通行できませんでしたが、2年を経過して復旧しました。冬の通行止めに入る前に、今回はそこを経由していつもの象潟までを巡ります。
 
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 この日は残念ながら雨が降り続く岩手県内でしたが、秋田方面の方が晴れ間がありそうなので、期待して進みます。まず一関市のスーパーで食料品の買出しをして、須川高原温泉に向かいます。栗駒山へは4回ほどしか登ったことはありませんが、今回は山登りではなく、観光客です。
 幾度と無く報道されている祭畤(まつるべ)大橋です。撮影ポイントは少し上流側にかけられている仮橋の上からです。ROで右岸橋台部分です。
 改めて強度計算は微妙なバランスの上に成り立っているんだと感じました。これが小さい、例えば1スパン50cmのスケールモデルであれば、片側が外れただけでこのように曲がることは無いはずです。
 同じ形状・材質であれば、強度は大きさ長さの2乗で変化するのに対し、重さ(荷重)は3乗で変化します。簡単な例としては、真四角な豆腐をある程度大きく作ると、自重で下の方から崩れてしまいます。 
 仮橋を渡りきって振り返ったところです。下の青く見える方が今渡った仮橋、上が建設中の永久橋です。多分中央の橋脚を先に立てて、両側に伸ばして行った物で、今向こう側の橋台に届いたところです。
 道路の復興を記念して途中に広場と記念碑と水汲み場があります。相当数の車が分断した道路に閉じ込められるなど、道路復旧も相当難工事だったはずですが、通過してみたところでは復旧あとは良くわかりませんでした。
 雨天の空がだんだん明るくなってきて、県境まで来ると、一部は青空になっていました。ビジターセンターは、中に灯りがついているようですが、なぜか開いていません。
 何台かキャンピングカーも湯治?にやってきているようです。岩手側の温泉宿である「須川高原温泉」は、多くの宿泊客と観光客で賑わっています。


 駐車場の隅に止めて、秋田側の晴天を眺めながら昼食にします。
 昼食のあとは、まだ先に進むので、全身浴ではなく足湯をいただきます。最近はどちらの観光地に行っても 中国語を話す方々が多く、こちらでも足湯で何かおしゃべりしていました。(中華人民共和国の方か、中華民国の方かどちらかはわかりませんでした。)
 (左下は動画で、拡大表示フルハイビジョンもできます)

 遊歩道の最短コースを回って来たあと、小安峡に向かって降りてゆきます。


 県道282号を経由して国道398号との交差点に至ります。ここから小安峡に至る道は以前は難路で、勾配・屈曲が激しく、旅行者泣かせでしたが、現在はトンネルと橋でとても良い道になっています。
 ここはまず南の宮城県に向かって進みます。この道も激しい地震でひどい被害を受けた区間ですが、2010年の9月に通行再開したばかりのところです。しかし宮城側に下ってゆくにつれて霧と雨で視界が利かなくなって来ましたので、こちらの林道分岐点から引き返して小安峡方面に戻ります。

 小安峡は山登りのトレーニングという感じで、階段を早足で昇降して行きます。大噴湯のあたりでは遊歩道の手すりの補修工事をしています。国道に戻って、温泉街の一軒でお風呂をいただきます。照明を落とした和風の石風呂はまた趣がありました。

 小安峡からは、泥湯温泉・川原毛を経由して、まだ通ったことの無かった県道310号から国道108号に向かいます。泥湯温泉の売店で岩魚の塩焼きを買いたかったのですが、店番のおばあちゃんが他の接客で手が回らないためあきらめて温泉卵だけを買います。

 川原毛のあたりからは雨が強くなって、窓を開けて写真を撮る事も難しくなりました。散策もしたかったのですが、断念してゆっくりと山道を降りてゆきます。
 今日の宿泊予定地、道の駅雄勝(おがち)に着きました。道の駅の駐車場というと、収容効率重視で障害物の無い舗装面に区画線を引いただけのものが多いのですが、こちらでは適度に植栽が施され、動線を考えた大型車の区画、イベント用の予備駐車場など、充実しています。
 特にPキャンにオススメなのが上の写真の区画です。通過車両や大型の夜間アイドリング騒音から遠く、周回する遊歩道に隣接しています。おかげさまでゆっくり休むことができました。
 翌朝周囲を観察・散歩します。予備駐車場(写真左)の近くには、この平野が形成されたときに、島として残った残丘があり、小野小町の伝説の解説板が立てられています。子供用の遊具や芝地・ベンチなどもあります。地形に変化と趣がある、このような土地に、地権者の同意がまとまって道の駅が作られたことに感心します

 108号線を西に進みますが、今回はいつもより少し時間がありますので、寄り道をしてゆきます。
 院内の駅にある異人館や資料館は以前に見たことがありますが、実際に銀山があった所へは行ったことがありませんでした。国道沿いの看板に沿って奥に入ってみます。
 地図の地名にも「院内銀山町」と言うところがあります。上の写真のように今は山林になっていますが、最盛期には相当な町を形成していたようです。
 左は金山神社、ROで御幸坑口前の広場です。リンク先地図では神社の左上の石碑のマークの所です。
 お寺のあとも多くあって、相当数の墓石・墓地もありますが、今は草に覆われているところが多く、時の流れを感じます。
 
 国道に戻ってトンネルをくぐり、道の駅鳥海前の交差点から法体の滝方面に向かいます。
 法体の滝の前の広場では、ちょうど紅葉祭が開かれている時期で、ステージが組まれていますが、まだ朝が早いのでイベントは始まっていません。

 はじめにいつものように滝の上部を目指して急な石段を登ってゆきます。以前から写真では紹介していたのですが、今回は動画で滝つぼを覗き込む迫力をご覧ください。

 散策のあとは、売店でソフトクリームを…と思ったのですが、アイス系はもう終わりのようでしたので、大なべに作ってあったおでんとこんにゃくをいただきます。うまみが染みてとても良い味が出ています。駐車場の整理員が出るなどしてにぎやかになってきましたが、次の所に向かいます。



 鳥海山の中
腹を西に向かう、仁賀保高原への道も、今回は少し時間がありますので寄り道や見物などをしながら進みます。
 展望台と駐車場もありますので、遠くを眺めます。未舗装のわき道があったので入ってみました。
 調整池のような堤防がありますが、水が溜まりそうなところを見ると、自然の湿原に近いような地形と植生になっています。地形図だとこのあたりで、水溜りになっていますが、このときは流れがあるだけで広く溜まってはいませんでした。
 流入する部分をたどってみると地下の水路から放出されているようでした。あとでこの地形図を見て納得しました。このあたりは水力発電のために細かく取水・導水の設備が開発設置されているようです。いつかこのようなところを業務の邪魔にならない範囲で見学させていただきたいものです。

 ←調整池の内部の流れと湿原
 大きな橋(鶯川大橋)に展望台が何箇所か設置されています。好奇心で眺める私のような人にはいいのですが、費用対効果を考えるとややもったいない気もします。
 サイクリングターミナルなどがあるところを過ぎると仁賀保高原の風車群とひばり荘が見えてきます。

 近づくと、北から流れる霧に見え隠れしながら多数の風車が回っています。 ↓
 そして土田牧場の売店に寄って「ジャージーカントリー」をいただきます。その名のとおり、ジャージー種のミルクから出来たヨーグルトの上にソフトクリームをミックスしたもので、乳製品の中でこれ以上美味しいものは多分味わったことがありません。
 
 今まで立ち寄ったことが無かったグランドと屋根付きの展望台のある広場で昼食にします。
 ラジコンのグライダーを持参して機種を交換しながら楽しんでいる方がいました。日本海からこの高原に吹き上げる風が条件にあっているようです。

 展望台からの180度の光景。正面は象潟の平野と日本海。↓
 これもいつもの道の駅象潟、ねむの丘にやってきました。展望浴場でゆったりと海を眺めます。
 浴場の上の階には展望室があってどの方向も見渡せるようになっています。山側を見ると、田んぼなどの平地の所々に、松の生えた小島のようなたくさんの丘(九十九島)があります。
 これは1804年の地震でそれまであった汽水湖が隆起して出来た地形なのだそうです。展望台にはそれ以前の地形を描いた「象潟古景図屏風」(複写)があって、目の前の景色と比較できるようになっています。

 ただ、具体的に照合比較できるのは右端の鳥海山くらいです。当時の鳥瞰図の視点と、展望台の位置が同じではないのかもしれません。
 上の写真の撮影は「一振りパノラマ撮影」の機能を使って、屏風に平行して歩きながら撮影、ROの実写はその場でスイングして撮影したものです。
 浴場に人がいるときはカメラは持ち込めませんので、展望台からビデオ撮影しました。浴室からとほぼ同じ景色です。よほど天気が悪くなければ 沖合いの飛島が見えます。↓

 日本海に沈む夕日を見送りながら、今回の秋田県南の旅を終えました。

2011.11.05  平成23年にもまた泥湯のあたりまで行ってきましたのでその記録です
 
 前泊は前沢SAです。四角張った駐車場ですので、隅のところは通過車両が少なく比較的静かに過ごすことが出来ました。
 一関インターで下りて栗駒山方面に向かいます。インターから東の市街方面には商店が多くあるのですが、西には食料調達できるようなところはあまりありません。ですが厳美渓バイパスの入り口にコンビニがありましたので、新鮮なものを仕入れて、少し先の道の駅厳美渓で朝食としました。秋の行楽シーズン最終の週末(北東北では山間部を越える国道は生活必需路線を除いて11月初めで通行止めになります)ということでキャンパーも何台かとまっていました。

 これまで気付かなかったのですが、平行して走る川の色が普通ではありません。何らかの金属イオンが溶解しているのでしょうか、ごらんのようになっています。鴨が泳いで、紅葉の色彩とあいまって珍しい風景になっています。

 そして昨年の通過時には完成直前だった新しい祭畤(まつるべ)大橋をわたることが出来ました。東端には落橋した旧道を展望するスペースが作られていますし、新橋からもその状態を観察することが出来ます。(RO)

 真湯を過ぎて山道に入ると、快晴で展望が開けてきました。地震による崩落箇所がかなり大規模であることがわかります。
 工事箇所のアクセントにかわいい絵が付いていました。(右下・RO)
 須川高原温泉(旅館)はすでに11月2日夕方で今期の営業を終了していて、一部の売店だけが開いていました。冬篭りのために雨どいをはずしたりする工事が進められています。

 天気が良くて暖かいので、登山者がけっこう来ています。昨年と同様、熱め足湯の後、散策に向かいました。

 こちらは遊歩道の途中にある、蒸気浴とでもいいますか、まんじゅう蒸しとよばれる小屋の中です。もうすでに積雪対策で戸板は外されていますが、レンガの下にパイプの開口部があって湯気が上がってくるのは天然なので休みなしです。今まで使ったことが無かったので3人で仰向けに寝てしばらく温まるととても気持ちよくなりました。

 高層湿原の跡であろう名残が原から、賽の河原を回ってくる道は、スニーカー程度で十分歩いてこられる遊歩道になっています。登山した際には帰り道に回ってきたりします。
 
 須川高原から下って、いつもの通り道になっている小安峡に立ち寄ります。といっても谷底まで下りてぐるっと一回りはします。縦画面の写真は、峡谷を見下ろす橋の上からです。ROで下流方面です。秋の連休(体育の日)頃にはもう少し標高の高いところが紅葉の見ごろですが、11月初めになると人家のあるところまで紅葉前線が下りてきてちょうど良い季節になります。
動画はこちらからどうぞ











 
 次の泥湯温泉にむかいます。今日は奥山旅館のお風呂に入らせていただきました。
 こちらでの入浴はかなり久しぶりです。以前からある湯小屋の向かいに、男女別の露天専用浴場ができています。こちらは硫黄泉のようで白濁しています。500円で両方のお風呂に入ることが出来ますが、別棟になっているので一度服を着てから移動する必要があります。
 妻子ははしごをしましたが、私はちょっと覗いただけで、以前からあるほうのお風呂に入らせていただきました。こちらはあまりにおいの無いお湯で、洗髪もできます。(お客さんがいましたので内部の画像はありません)
 湯上りには旅館の前の売店(囲って中は暖房してある)にはいって、岩魚の塩焼きと、黒茹卵と、まいたけ汁を3人でいただきました。これらがすっごくおいしいんです。
 泥湯温泉奥山旅館は、日本秘湯を守る会にもなっていて、冬季も営業しています。とくに湯治パックがお得のようです。
紅葉の小安峡動画2011
 泥湯温泉の奥にある川原毛地獄にやってきました。川原毛大湯滝へ至る遊歩道は、以前と違って噴気孔付近を通らないコースに変更されていました。噴気孔の近い上部は立ち入り禁止になっています。遊歩道を下に向かいましたが、先般の大雨で方々が崩れています。大規模に掘れているので踏破するのはやはり無理そうです。(下の二枚目)
泥湯温泉から川原毛地獄・大湯滝の動画です
 大湯滝は良いところですが、来客も多く来ますので、以前のように裸になって入るのはためらわれるようです。また付近は噴気の状況に変化があるため、立ち入り禁止のエリアが次第に増えていっているようです。お出かけの皆さんも気をつけてお楽しみください。