今回の出発/帰着地点は孫六温泉・黒湯温泉です。先達川の上流、一本松沢に架かる歩行者専用の橋を渡って、孫六温泉の母屋と数箇所の湯船の間を通って上り口に向かいます。
 乳頭山にいたるコースは5〜6本あります。そのうち大白森方面から稜線伝いに田代平小屋に至るコースだけはまだ通ったことがありません。

 孫六温泉から登るコースが私的には一番楽に進めます。黒湯温泉からのコースは勾配がややきつく、晴れたときには陽射しで暑いので、少しだけ時間は多くかかりますが、こちらを登りに使ったほうが安心です。
 梅雨の中休み、ほぼ快晴ですが余り気温は高くなくてそよ風が吹き、樹林帯の中ですので日に照らされることもありません。まさに登山日和です。小さな花たちをみながら少しずつ高度を上げてゆきます。

 樹林帯を抜けて、間近の秋田駒ケ岳と田沢湖が望めるようになると、田代平小屋に近いなだらかな稜線銃走路とのT字路に出ます。
 田沢湖の向こうには残雪を多く抱えた鳥海山も見えます(下の写真RO)。結構距離があるのですがはっきり見えました。
 木道のある、湿原を縫うように進む道の両側には、湿ったところの好きなイワイチョウやヒナザクラが開いています。まもなく田代平山荘に着きます。

 前回宿泊時には軽装のおじさんが一緒に登ってきて、聞くとタケノコ採りだということで、小屋の脇を通って稜線を越えた岩手側の笹薮に入って行ったのを覚えています。
 今回そちらの方も思い出しながら見ましたが、今年のこの時点で行方不明になっている方がいて、後に20日ぶりで岩手側で発見・生還したのでした。よかったです。
 この小屋は立替後十数年経つでしょうか。最初に泊まった当時の立替前の田代平山荘は、屋根に穴が空いていましたが、2階の隅の屋根が残っているところで、3人でシートを敷いて(床が傷んで汚れているので)、ランタンの灯で過ごしたのでした。

 その小屋の前には沼があります。その沼の一面にはちょうどミツガシワが花盛りになっています。こちらでその映像をご覧ください。
 山小屋は何らかの水の便があるところに建てられることが多いのですが、雑用水としてはこの沼の水を使うとして、飲料水は数分枝道を下ったところにあったような気がします。

 なだらかな斜面は乳頭山の頂上まで続いています。南方には秋田駒ケ岳もはっきりと見えてきました(下写真)。
 足元にはムシトリスミレかと思いますが、雨裂となった歩道の日陰側に群落が見られるようになってきます。モウセンゴケのくらいには虫を捕っているのはみかけません。秋田駒ケ岳でも見かけたことがありますが、ほんの数輪だけでした。
 下の写真をクリックすると、山頂からのパノラマ映像をご覧いただけます。概ねの山座同定は出来ますので、さらに下の写真に説明を加えてあります。ビデオと対照しながらご覧ください。
 下の写真の説明です。右下に見える避難小屋はさっき通過してきた田代平山荘です。奥の高そうな山は昨日山麓でキャンプした森吉山です。森吉山の右手前に、頂部が黄緑色の草原で、平らな河童のお皿みたいな山が見えますが、以前に縦走してきたことのある大白森です。
★乳頭山頂からのパノラマ(上のビデオ)の説明です。
  説明の順番はどれも画面の右からです

左写真:笊森山・三角(みかど)山・
 小高倉山(雫石スキー場のレディスダウンヒルコース頂点)
左下写真:岩手山・三ツ石山・大深岳・(左奥に)茶臼岳
下写真:八幡平(なだらか)・焼山・左端に森吉山


 黒湯温泉に下るコースは前述のように日差しがやや強いのと勾配がきついのですが、歩きにくくなった雨裂に、滑り止めの付いた木道がだいぶ整備されています。ひざに負担がかかりますが、毎日のトレーニングのおかげと、ダブルストックで注意しての下降なので痛くならずに済みました。
 沢筋に近くなって、一本松温泉の湯船があります。温度調整用の水も引いてあり、すぐそばの沢で水風呂に入ることもできます。でもけっこう人通りが多いので手湯だけにしました。
 砂防ダム(治山ダム?)に溜まった青緑の湖面までやってくると黒湯まではなだらかな沢沿いの道をたどるだけです。
 
 泉源から引いた管に沿ってゆくと黒湯温泉の屋根が見えてきます。現在も冬は休業しているのでしょうか。孫六温泉は大釜温泉の方からから歩いて来るルートで冬も営業しているようです。
 今日の山歩きのあとの温泉は乳頭温泉郷、計7湯の中で唯一近代的な建物の休暇村です。ひなびてはいませんが、こちらの温泉も露天風呂がぶな林の中にあり、内湯も2種類で、片方ではぬるくゆっくり浸かることが出来る、とってもいい湯です。

 お客さんが何人かいましたので、脱衣・洗面所から見た外のぶな林の様子です→

 だんだんステップアップして、以前のようにもっと体力的に大変なコースも歩けるようにしてゆきたいと思います。
 おまけのレポートです。田沢湖町(現仙北市)にやってくるといつも立ち寄って食品の調達や食べ物のお土産を購入する、スズフクユーマート田沢湖店ですが、今回立ち寄ったら店名が「グルメステーション ビフレ」に変わっていました。内外装は手を加えてありましたが、基本的なレイアウトや取扱商品はほぼ同じようです。たぶん従業員の方も引き継がれたものと推察します。今後も利用させていただきます。
「久々の乳頭山登山」                  2012.06.30
 秋田県の田沢湖から山の奥に入ったところにある乳頭山は、岩手側では烏帽子岳と呼ばれていて、地形図上でも「烏帽子岳(乳頭山)」の表示になっているようですが、一般的には乳頭山と呼ばれることが多いように思います。
 前回乳頭山に登ったのは次女が中学生の時に一泊で登った時ですので、10年ほど前になります。その前には長男とその友達と、滝ノ上温泉から登って千沼が原を回りました。一人で同じコースを回ったこと、長男長女と一泊で孫六温泉から千沼が原へ往復、そして最初に登ったのは同級生と秋田駒ケ岳から日帰りで往復縦走し、帰りにやはり千沼が原に立ち寄った時のことでした。
 最近は運動量があまり無いので2時間半の登りでも耐えられるか、また下りでは弱点のひざが大丈夫か心配でしたが、何とか周回してくることができました。 こちらの地図写真には「烏帽子岳」の表示になっています。