「新草の湯」 2007.6.30 
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 私にとって秘湯の元祖である「草の湯」へは、長男が小学1年の時に2人で頂上側からテント泊で到達したのをはじめに、5年の頃に同級生も連れて計3人で安比側から、次女が6年生のときに2人で頂上側から、数年前に一人で安比側から…と、計4回通いました。
 2007年6月はじめには妻と安比側から入りに行きながら、「新草の湯」への道を探したところ、それらしい入り口を見つけることができましたので、今年2回目の安比方面キャンプをしながら訪ねてみました。 先人たちのHPにははっきりとしたルートは書かれていませんが、出来るだけわかるように報告したいと思います。
 
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 この日(土曜日)は天候があまりよくありませんでしたが、翌日にかけて次第に回復する予報でしたので、小雨の中、途中にある安比高原の中の牧場(まきば)と奥の牧場をゆったりと散策してすごしました。

←森の駅のすぐ向かいにある池塘。3週間あまりで、ほとんど無かった湿原植物が水面を覆うようになっていました。
 6月上旬には中の牧場ではまだ草花が少なかったのですが、ヤナギラン(右)がわずかに咲き始め、オダマキもありました。

 奥の牧場にはたくさんの池塘が高さを違えてちりばめられていますが、いつも決まったルートは無く、適当にあちこちさまよい歩くのが楽しいところです。

 昼食をいただいたあと、兄畑林道を草の湯入り口に向かいました
↓ミツガシワはこの一株だけ花が残っていました ↓八幡平の稜線が望めます。あのふもとのあたりに草の湯と新草の湯があります。

 草の湯の場所と入り口は2万5千分の一地形図に記載されてあり、興味があってこのHPをご覧の方はわかると思いますので説明を省略します。今回は最短アプローチの、北麓車道を詰めた所にある地熱発電調査井広場付近から歩き始めます。
 前回は林道(車道)入り口で工事作業中だったので約7kmの車道区間も歩き、片道で計3時間近くを要しましたが、今回は歩道と藪こぎの30分程で到達予定です。
 広場には立ち入り禁止の看板があり、水をはった何かのプールが2箇所にあります。
 下は熊対策用品です。急に大きく広げると驚いて退散するというのでピクニックシートと、催涙スプレー、他に鈴も2人×1個違う音色のものを付けてゆきます。

 営林署で管理している「草の湯歩道」の入り口です。終点は八幡平頂上です。同様の標識は「安比歩道」にもあります。奥の牧場から車道を詰めた赤川砂防ダムから始まり、安比温泉・安比岳・源太森に至る道です。草の湯歩道は昔から2.5万図に載っていましたが、安比歩道の方は十数年前まで記載されていませんでした。草の湯歩道も別添の図にあるように一部の歩道位置が少しずれていたりします。また、車道が通ったために、途中の歩道は倒木や藪で廃道に近くなっているようです。
 腕時計型GPSと高度計と磁石を併用してナビゲーションを行い、分岐点と新草の湯の位置を確定しようと思いましたが、手持ちのGPSで精度を出すには衛星捕捉個数が多く、やや長い時間を必要とします。帰宅後調べた記録座標は役に立つ精度ではありませんでした。
 高度計は、麓の舗道と林道の分岐点で合わせた標高と、広場付近の標高点(1159m)との整合性がありませんでしたが、後者の値を信頼して、草の湯歩道入り口で高度を1167mにあわせました
 歩道を300mと少し行ったあたりの右側に新草の湯の分岐があります。その少し手前の左側(山側)には、車道行き止まりの広場に至る道もありますが、これも標識などはありません。
 分岐を通り過ぎてしまうと下りになり、数十メートル先に0.4kmの標識がありますので、この標識まで行ってしまったら少し戻る必要があります。
 右の写真は分岐付近から今来た道を振り返ったところです。標高は1179mでしたので、草の湯歩道入り口から12mほど高い位置になります。
 新草の湯への分岐は左の写真のように、藪が少し薄くなったかなという程度にしか見えない所で、やや尾根状のところについていますが、入ってゆくと意外に踏み跡がしっかりついていて、所々にピンク色のテープが枝にしばってありますので、注意深く進めば迷うことは無いと思われます。ただし、ルートファインディングが不得手な人はどうかわかりません。また倒木で笹薮の中を迂回する部分もありますのでやはり慎重な行動が必要です。迷った場合にはとにかく斜面を登れば草の湯歩道に戻ります。

 やや花期の過ぎたマイヅルソウや葉だけのミヤマカタバミ、あまりかわいくないギンリョウソウなどを見ながら、下り坂が急になってきて、オバケ水芭蕉のある泥濘のあと、小さい沢を渡ります。
 沢の岩は思ったより滑ります。こんなところで骨折でもしたら非常に窮地に陥りますので慎重に通過します。
 
 林の中から硫黄の匂いがしてきて、ビデオを撮りながらでしたが分岐から20分ほどで新草の湯に着きました。
 泉質は草の湯と同等の湯の華を大量に含んだものですが、泉温は数度こちらの方が高いと思われます。
 足場が悪いので持参のシートを広げて脱衣所にし、早速入浴です。お湯の出口が少し高所なので、打たせ湯にするとちょうどいい具合です。極楽ゴクラク…。
 でも泉温を除けば個人的には草の湯のほうがいいかな。すぐそばを源太森に源を発する智恵の沢が流れていて、侵食がもう少し進むと崩れ落ちそうな所にあります。入りに行くのなら今のうちかも!
 帰り道は上り坂ですが、「食べる酸素」をほおばって、ダブルストックで登りましたので特に苦にもならず分岐点まで戻りました。
 妻はもと来た道を戻りましたが、私は東への分岐を入ってみました。車道終点に至る枝道であるという確証は無かったのですが、位置関係から見込んで入ってみたところ、やはり終点広場に出ることが出来ました。

←終点広場の右奥から歩道が続きます。

 このあとはオマケですが…。
 昨夜は高速道PAで少々うるさかったので、2泊目は閑静な駐車場をキャンプ地にしました。

 前森山をぐるっと回って、南麓の松っちゃん市場(産直。なかやま荘の前、イーハトーブ火山局のとなり)で大根と生食用の蕪を買い、すぐ近くに移動します。
 ここは「中山チェーン脱着場」というところです。名前のとおり、冬期には八幡平スキー場や松川温泉方面に向かう車がチェーンを着脱するのに使用するところ…と思われます。(私自身は4WDなので使ったことはありませんが)夏季も開放されていて利用可能です。
 ご覧の通り広大な駐車スペースと24時間使用可能なトイレ(もちろん水洗ですがシャワー付ではありません)があります。冬期に積雪の無いところでの作業ができるように屋根付の部分が相当あります。降雨時には雨よけになりますのでわんこを外に出して置いたりしても大丈夫です。また夏の日差しを遮って昼寝休憩にも適しています。
左は大型車用のスペースと屋根で、奥がトイレ棟です。
 場内には藤棚や東屋、隣接して少し遊具もあったりします。
 翌日は朝霧が晴れるとすばらしい晴天になりました。リビを連れて道路沿いに散歩すると桑の実がたくさん成っていました。当地ではクワゴといいますが、その甘くておいしいことは、果物中でも最高の部類に入るのではないでしょうか。 量が少しなのと、指が赤くなるのと、たまに虫も一緒に食べてしまうのが難点ではありますが…。リビも手にとって与えると甘いので喜んで食べます。

 この辺りでは他にさくら公園付近にも2箇所トイレ付駐車場があります。
 入浴可能なところも方々にあります。このエリアでは便利なところから、奥深い原生林、遊歩道の無い未開の湿原、浮島のある沼、ワイルドな秘湯まで飽きることがありません。

 


 この地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図を使用したものです
 (刊行物等に少量の地図を挿入する場合・出所の明示