「安比温泉 その2」と安比湿原 
2008.07.20 
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 夏は短いので2008年も時間がとれしだい歩き回っていますが、これも久々に安比温泉に入ってきました。その前に安比湿原も訪ねました。変わらぬ風情でますます秘境の感がします。
 
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 八幡平頂上ホテルと、安比高原中の牧場はなじみの宿です。
 この日は夕刻に中のまきば、ぶなの駅につきました。横に長くなった陽射しの中でやなぎらんが笑っています。アザミもきれいです。外にいすとテーブルを出して、ビールをいただきながら、刻々と変わる空の雲をつまみにします。



 翌朝、林道を詰めて車道終点にある赤川砂防ダム近くの広場に車を置きます。
 看板があって、下の写真で安比温泉と湿原の部分を拡大で見ることができます。

 右の看板にある緑色の縞模様は、赤川に作られた砂防ダムの数々です。これだけの対策をしないとこの川の下流では民家に被害が及ぶおそれがあるのでしょう。
 安比歩道(安比岳経由八幡平頂上まで)はこの砂防ダムの上を渡るところから始まります。
 横断に使用出来るダムは2・3段あります行きは下の段を行くことにします。

 足元の装備は、通常の山歩きではなく、ゴム長靴です。これは渡渉と湿原で結構深い水をわたることがあるためです。傾斜も比較的少ないコースですので靴下を厚めにするとこれで十分です。

 数百メートル進んだところにある最初の分岐は左へ茶臼岳への道を分けます。(前のリンク先の地形図を参照ください)


 安比川の近くに出ると崩れやすい斜面のトラバースが何箇所かありますが、多分安比高原のペンションオーナーの方々が、この先の安比温泉とともに手入れをしてくれているのでしょう、土留めの柵や階段が真新しく補修されています。
 前回来たときには、最初の渡渉点(右岸から左岸へ渡るところ)まではほとんど足が濡れる心配は無かったのですが、今回は出水時に支流が出来て、登山道の一部がすっかり流れに置き換わってしまっていました。私たちは長靴なのである程度大丈夫なのですが結構深みになっているところもあります。

 このコースも結構人通りがありますので(といっても他人と出会う確立は往復でも50%くらい)、先人が「高巻き」した後がありましたのでまねをしました。
 でも帰り道には面倒なので川の中を歩きました。

 その後も「氾濫原」を通って本来の渡渉点に至りました。以前に読んだ情報誌(紙ベース)では雪融け時期に腰まで浸かって安比温泉に至った人の記録がありましたが、私はまだ膝下くらいの水位で、靴を脱いで向こう岸に投げ、裸足で漕いだ程度しかありません。また、時には白樺の木を2本束ねた橋がかけてあったこともあります。
 
 今回は飛び石をうまく跳ねればショートカットの靴でもいけそうです。
 向こう岸に目印の赤ペンキが枯れ木の幹に付けてあります。(左下写真)

 流れを渡ると道は二手に分かれます。一つは流れに沿って渡渉を数回右岸左岸に繰り返しながら小さな赤リボンを探しながら安比温泉に至るコース、もう一つは高度を上げて安比岳・八幡平頂上へ向かうコースです。右写真は後者の入り口です。(右写真その方向を示す看板)
 どちらかというと水量が多くないときは温泉までであれば前者のコースがオススメです。

 少し木の根の階段を登りながら進むとまた道は2つに分かれます。私たちはここで左の安比温泉には向かわず、右の安比嶽に向かう途中にある安比湿原を目指します。 左写真の上端しの板には安比温泉と書いてあります。

 安比湿原の入り口までは高木や小さな流れを縫うように、少しずつ高度を上げながら進みます。ツバメオモトの実や名称不明の花たちもいます。
 湿原は初めて来た時と同じように迎えてくれます。 ですがここには決まったルートがありませんし、踏み跡もみあたりません。つまり訪れる人が少ないために未開のまま残されています。

 以前の来訪と時期が違いますので、咲いている花の種類も違います。モウセンゴケはまだ開花していませんがトンボ採りはやっています。キンコウカが盛りです。

 このあたりは立ち入りが禁止されている特別保護地区ではないのですが、なるべく植生に気を配りながら歩く必要があります。 それにしても自然にこのような不思議な形ができるのが不思議です。
 

 そして先ほどの三叉路(安比嶽・安比高原・安比温泉)からこんどは安比川のすぐ右岸にある安比温泉へ向かいます。
 自然に流れを塞いだ流木の橋を渡ることもありますが今回は軽く渡ることができました。
 緑に囲まれて一段低くなったところに安比温泉の浴槽があります。早速入浴させていただきます。
 泉質はよくわかりませんが(温泉成分表などは張り出されていないので)、たぶん単純硫黄泉かと思います。
 
 入る前は透明でしたが、動き回ると沈澱した成分が巻き上げられます。それに下から時々泡がこぽこぽと湧き上がってきます。

   
 ちょうど良い湯加減で、蚊も寄ってきませんでしたのでしばらく二人で野湯を楽しみます。これが本当の秘湯(の一つ)です。

 少し上流からパイプで引いていますが、横の石垣の間からもお湯が湧き出ています。

 帰り道は川沿いの小道や飛び石を右に左に縫うように渡りながら進み、渡渉点の三叉路からは往路と同じコースを戻ります。

 この日初めて人とすれ違いました。親子連れで小さな子もいます。うらやましいです。でも氾濫原の状態が良くないので少しだけ足元を吟味してもいいかなという感じです。聞くとやはり安比温泉までとのことでした。
 子供たちが「もう来たくない!」と言い出さないような楽しいハイキングになることを願っています。
 さて、安比高原の奥の牧場まで戻ってきました。いつものポジションに移動別荘を停めて、大自然の中のレストランで昼食にします。
 やなぎらんの季節ですのでお客さんも結構来ます。とは言っても1時間に2〜3組、10人弱人といったペースでしょうか。

 小雨が落ちてきましたが、湿原には雨粒でできるたくさんの輪もアクセントになります。傘と長靴で迷路のような池塘を花を愛でながら巡りました。

 大き目の画像で安比高原奥の牧場をお楽しみください。