草の湯 2011」 2011.06.11
   と安家森と安比高原
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 震災の被災地へ毎日往復して業務にあたっています。瓦礫の山で殺風景なところで長くすごしてきましたが、しばらくぶりでゆったりとすごせるところへ出かけてみました。

 
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 今回の主目的は草の湯ですが、途中で安家森、葛巻高原へ立ち寄ります。
 その安家森へ至る道はいつもは道の良い内陸経由なのですが、今回は岩泉町石畑から奥岩泉トンネルを経由する道をとりました。
 このコースは私が初めて安家森にやってきたときに、バイクで途中の高原で一泊して通った道です。それ以来ほぼ毎年安家森へ通っています。
 奥岩泉隋道の入り口で休憩します。蕗がたくさんありますので少し摘み取ります。トンネルの向こうから木材を満載した木出しのトラックがやってきました。
 ニリンソウやサンカヨウが咲き、雪渓の残る道を辿って安家森へ向かいます。 例年ですと牛が放牧されて寝そべっていたりしますが、今年は見当たりません。後で帰り道でこれから放牧される牛たちに会う事ができました。放射能の影響はこのようなところにも来ているのでしょうか。
 頂上ではこれから平庭岳に縦走するという方と少しお話をしました。平庭高原に車を置いて、タクシーでこちらの登山口にやってきたそうです。
 草原と牛さんの安家森(袖山高原牧場)から、毎年のイベントである「くずまき高原牧場まつり」の会場に移動します。
 IBC(岩手放送)の中継も来ていて会場内の紹介をしています。
 上の広場でいつもの牛ももスライスと、石釜焼きピザとソフトクリームをいただきます。
 一角には葛巻町が自然エネルギーを重視した展開をしていることもあって、ソーラーパネルが設置されています。他に今回は取り上げませんが風力の利用や畜産関係のリサイクルも盛んです。
 そして初めての企画?でしょうか。大型農作業機械の展示に並んで、骨密度の測定コーナーがありました。何となく簡単に測れそうな気がしますが、このような検診車が無いと難しいようです。要注意の人は解説コーナーで係りの人が状況を説明してくれるようですが、私の結果は問題なしで、検査結果が記入された紙をいただいただけで完了しました。

 そのあと下の広場の方で昼食をいただいたあと、安比高原経由で草の湯にむかいます。
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 安比高原の奥から林道を7kmほど詰めたところの地熱発電試掘井付近に車を置いて草の湯へ歩き始めます。
 2011年は高山植物が多く咲いているように思います。こんなに多くの開花を一度に見るのは滅多にありません。
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 コース途中にある湿原にはミズバショウをはじめ多くの花が咲いていました。こちらはエゾノリュウキンカです。
 他にもたくさんの種類が咲いています。左上はサンカヨウ、上はミヤマカタバミ、左は菊咲きイチゲ、同ROでミツバオウレン、左下はイワナシ、 下はツバメオモト、同ROで水芭蕉です。
 さて、ビデオと写真を撮りながら、ゆっくりと、雪が残ったり、ぬかるんだ湿原を渡りながら進みまして、約40分位で目指す草の湯に着きました。

 早速入浴の準備をします。いつもは沢の流れに近い方にある第一浴槽(とかってに命名)は、今年は土砂で埋まったままになっていて入ることができません。3箇所ある湯船の中でこちらが通常は一番温度が高いのですが、夏にはどれに入っても支障ありません。前回はスコップなど持参でしたが、この次には作業が出来るように準備して来たいと思います。

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湯船に浸かりながら周りの野山を楽しみます。

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※この記録は2011年7月5日朝のNHKおはよう日本 「とれたてマイビデオ」のコーナー及び、同月18日の「月間とれたてマイビデオ7月号」の番組内で紹介いただきました。
 日の長い季節(6月)ですので、草の湯を16時に出発、30分で林道に戻り、安比高原 中の牧場にやってきました。18:30を回りましたがまだ十分な明るさがあります。いつもの沼の周りを散策して、植物観察もします。つつじと蕨の季節ですが、背の低い草原を観察していて、今回初めてすずらんを見つけました。もちろん野生のものです。

 あまり植物には詳しくないのですが、一般に庭に植えられているのはドイツすずらんがおおく、国産種はあまり普及していないということを聞いたことがあります。やや小ぶりであまり列が長くならないようです。その分清楚な感じがします。

 夕日やアズマギクをゆっくりと眺めながら散策して、移動別荘に戻って夕食にします。夜は録り溜めておいたビデオなどを見ますが、とっぷりと日が暮れたあとにやってきたバスがありました。どうやら星空の案内をしにきた、近くの宿の車のようです。

 翌朝は、霧の中を旭が昇ってゆきます。晴れた夏の山では、まず草露が気化して霧になり雲になりますが、日光に照らされて消えて行き、陽射しが再び草原に注いでまた露が飛んで・・・という感じで幾度か晴れ間と薄霧が繰り返され、流れて行きます。ゆっくりのようですが、刻々と表情が変わって行きます。
 写真の記憶に留めたい場合には、こまめに記録してゆかないとあとから見ても違った表情になってしまいます。
 「ぶなの駅」には水洗トイレがありますので朝も安心です。キャンパー用に悪天候時の避難ホールもありますが、日中の管理人が居る時間帯に申し込んでおかないと、夜間は施錠されてしまいますので中に「避難」することは出来ません。

 起き出して朝食の前に 奥の牧場(まきば)に移動します。いつもの池塘めぐりをします。今年は昨日の草の湯コースで多くの花たちに会う事ができましたが、奥の牧場ではミツガシワがたくさん咲いていて、しかも花の適期でした。こんなにたくさんのミツガシワに出迎えられたのははじめてです。

 初めて行った観光地は、少しの間は余韻があって楽しいのですが、しばらくしてまた行きたくなるかと言うと必ずしもそうではありません。いわゆるレピーターになって何度も行きたくなるような場所というのは、自分がそこに行って「今年も帰ってこられた」というような帰省意識のような感覚が持てる場所ではないでしょうか。
 安比やその周辺の野湯も、私にとってのふるさとのようなものかもしれません。