「草の湯 2018」 2018.05.29
   
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 現時点では一泊以上の日程で野遊びするのが難しいので、日帰りで久々に とっておきの温泉、草の湯へ行ってきました。27年ほど前に初めて入って以来、今も変わらず、お湯は湧き出ています。湿原の花もきれいでした。
 
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 安比高原のホテル・スキー場エリアから奥へ進んで、中の牧場、奥の牧場へは通行に支障ありません。が、昨年・一昨年に大雨の被害があったせいでしょうか、その先の兄畑へ通じる道は、ぶなの駅へ分岐する三差路に工事中・通行止めという表示があります。
 草の湯へ行く林道の入口より、どちら側に通行止め箇所があるのかわからないので、行けるところまで行ってみることにしました。
 草の湯入口よりだいぶ手前のこの辺りで橋梁付近の盛土補強工事をしているようでした。ダンプ2台と現場監督の車が居ましたので、恐る恐る通行の可否を訪ねると、通ってもいいよ…とのことでした。ただしダンプすれ違いには注意とのことですが、ラッキーです。
 草の湯林道入口には、この先4.2kmで道路崩落との掲示がありましたが、車を置いて歩いても、その先は大丈夫な距離ですので進んでみました。
 途中の袰部沢を越えるところが心配でしたが、今年は堆積した土砂もきちんと除けてあって、渡渉は困難ではありませんでした(上写真)。

 新緑が眩しい林道を進んでゆくと、4.2km地点では確かに道路が侵食されてはいますが、工事中ではなく、狭まってはいますが通行は可能な状態でしたので、いつもの地熱発電調査施設のところまで進むことが出来ました。
 ここからいつもの楽しい草の湯への歩道が始まります。
 「草の湯歩道」と「安比歩道」には案内標識がしばらく前に取り付けられましたが、ゴールは八幡平頂上のようです。素材の組み合わせに難があるのか、貼付された文字がプラスチック板からはがれている部分も多くあり、また板が割れたり紛失しているものも増えてきました。あれば助かるのですが、このコースを歩くのはマイナーな物好きが大部分と思いますので、自分でナビゲーションできる方にお勧めです。
 すぐに雪田とキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウともいうらしい)が迎えてくれます。


 右の写真をクリックで動画をご覧ください。(動画はbSまで公開予定です)



 ↓ サンカヨウ 山荷葉 の花
 ↑ 草の湯歩道入口から200m先の標識はクマに齧られてだいぶ標柱がやせています。上の白い板は、基板と接着文字の相性の関係か、何年かで剥がれてきています。その下の透明板はその後取り付けられたようです。


 ← 倒木を一部チェーンソーで処理してくれていますが、もう少し手を加えて、くぐったり乗り越えたりしなくても済むようになると、より安全です。


 ↓ シラネアオイ 白根葵 が群生しているところがありますが、年によってちょうど良い開花具合に当たることは多くありません。今回はぴったりでした。マイヅルソウ 舞鶴草 はまだ少し早く、ほとんど咲いているものはありません。
 前回来訪時(2014)には、同時期にもかかわらず残雪が多くて、ここへ来るまでも、この後も道迷いにあってしまいましたが、今回はほぼ雪田の上を縦断してゆくだけで迷うようなところはありませんでした。
 下界では記録的な積雪量になったこの冬でしたが、山の上は平年か少ないくらいのようです。アスピーテラインも除雪がはかどったようでしたが、原因は下界の気温が低かったために、雪が融ける暇もなく積み重なったのに対して、山の上はいつものペースで気温も降雪量も推移したためということのようです。
 それでも道迷いに備えて一応GPSと地形図で位置把握はできるようにして進みます。しかし地形図上にある登山道は、特に樹林帯では不正確であることが多いのは多くのGPS活用登山者が経験している通りですので、経験も併せて進みます。
 このコースの魅力は、エゾノリュウキンカ 蝦夷之立金花 や 水芭蕉 の咲く湿原を通ぅて行くことです。 この時期限定のお花畑の中を進みます。
 道は湿地帯も通りますので、木の丸太や、輪切りしたものや、中には鋼製のエキスパンドメタル敷いて歩きやすいように手を加えてあったりしますが、気を付けていてもたまにズボッとぬかるみにはまることもあります。なので、長靴がこのコースには最適です。ただし道標にもある、八幡平頂上方面まで進むにはやや急な斜面もあるので、防水機能のある登山用のシューズが良いかもしれません。
 左写真は水芭蕉ですが、写りこんでいるのは私の指です。こんな小さな水芭蕉は他では見たことがありません。一般に雪解けが遅いところの花は小さいですが、これは本当に同じ種類なのでしょうか。
 下は水たまりに何か黒い長いものが見えますが、サンショウウオの卵のようです。


  こちらから動画でもご覧ください。草の湯が近づいてきました。
 右写真でわかりにくいのですが、遠くの青空の下に八幡平頂上に続く残雪の稜線が見えます。その左側にパラパラと白い点があるのはコブシの花です。中央下のやや右に先行する妻の後ろ姿が見えます。 前回はこの辺りの登山道が雪田に覆われていて、道が不明になり、背丈を優に超える高さの笹薮をしばらく漕いで正規ルートに戻ったのでした。

 写真やビデオを撮りながら40分ほどで到着です。草の湯は、地形図に現れない小さな沢沿いに湧き出ています。その上流側から見たのが下の写真です。やや白飛びしていますが、写真下のやや左寄りが、一番大きな「浴槽」です。青空のもとで入る露店風呂は、この世の楽園です。
 左写真は、上写真の三脚の位置から沢の上流を見たところです。この沢水は冷たいのですが、温泉の湧き口から出るお湯に混ざりそうになるので、小石を積んで流れを制御してあげたりします。

 時期によって蚊やブヨが寄ってくるので、防虫剤も準備してゆきますが、ササッとお湯に入ってしまえば大丈夫なことが多いです。

 到着から入浴まではこちらの動画でご覧ください。ただし、本人出演はカットしてありますのでご了承ください。なお、6/14のNHKローカル局で放送していただきましたので、もしかするとご覧になられた方もいるかもしれません。全国枠の投稿ビデオ紹介は、おはよう日本で行っていましたが、映像発信手段の多様化(Youtube等)により、何年か前に枠がなくなりました。草の湯も何度か紹介いただきました。


 記念写真を撮った後は、また往路で見過ごした花たちを愛でながら戻ります。こちらにえいぞうがあります。右下はイワナシの花です。半透明のピンクで、繊細な形をしていて、里では見られないタイプなので好きな花の一つです。
 何度か通っている中で、前回以前には気が付かなかった設置物がありました。雨水排水桝のようなものが何か所かあります。こんな山の中に埋設管があるはずもなく、いや現時点では工作物が無いので必要ないですが、将来的に下記の地熱発電施設に関連して設置される可能性はあります。
 蓋を開けてみると測量の基準になりそうなものがありました。積雪や流水による浸食、草木で埋没されることに備えた保護策なのかもしれません。
 歩道入口の近くにある桝では、中に大きめのサンショウウオさんが落ちていて、このままだと出られないので、手ですくって外に出してあげました。周りはまだ雪田が残っているので、溶け始めたところから歩いて来て取っ手の穴から落ちたようです。
 また、淡く・濃く、道端に咲いているキクザキイチゲを、時折しゃがみこんで写真を撮りながらもどります。雪がすぐそばに残っているところもあります。
 車道の最奥には車が転回できる広場がありますが、その手前の草の湯歩道入口のあたりは、左右に広大な敷地があって、かつては地熱発電の調査井があったようです。しばらくお休みしていましたが、昨今の新エネルギー開発の一環でしょうか、新聞報道では2024年ころまでに地熱発電所を造る計画のようです。左は以前からある看板ですが、この時点ではまだ工事などは始まっていませんが、作業道を拡幅するために伐採する樹木と想像されるあたりにマーキングがしてありました。本格的に工事が始まると、私みたいなのんきに温泉に行こう、などという人は自粛した方が良いかもしれません。
 関連資料がこちらにあります
 車で林道を戻り、安比高原中のまきば・奥のまきばにやってきました。しばし散策の後、昼食にします。何年か前から馬を放牧していますが、この日はまだ始まっていない時期でした。アズマギクが花盛りですが、このあとレンゲ躑躅やスズランやワラビのあと、ヤナギランが咲き始めると盛夏になります。
 草の湯と安比温泉は地図の直線上では近くなので周遊する道ができると楽しいかもしれません。
2018 完