草の湯 2009」 2009.11.15
                   11.20
topへ
 秘湯シリーズ初めての冬季の記録です。11月15日に一人で現地まで行ってきました。平地では11月中旬はまだ秋ですが、標高1000m超の東北となると、もう冬の世界です。
 
「本当の秘湯」topへ
 夏は散策する人が多い、安比高原中の牧場(まきば)ですが、人影はまばらです。「ぶなの駅」は雪囲いの準備をしています。管理人のおじさんが詰めていましたので営業期間を尋ねましたところ、今年は11月18日(水)までということでした。
 次週21日に来ても閉まっているということになります。
 ←みぞれに煙る安比高原スキー場の前森山。
  ROでぶなの駅の前の池塘散策コース
 草の湯林道入り口から進んで高度を上げてゆくと、ふもとでは雨だったものが、みぞれ、雪と変わり、歩行開始地点では積雪が2センチ程度あります。車が入れなくなるのももうすぐのようです。

草の湯の手前(少し東)にある湿原も、まだ根雪ではなく、枯れ草が残っています。
  
 30分ほどの歩行で草の湯に到着です。夏季にはやや温く感じる泉温ですが、気温が低い時期には十分な暖かさのようです。



 三箇所ある湯船のうち、沢筋に近いところは出水時の土砂でかなり埋まっていましたが、他の二つは大丈夫です。深さがやや足りないので底に溜まった土砂を取り除いて、越流する部分に石積みをします。かき混ぜるとにごり湯になって、掘る部分が見えなくなりますので、水深を記憶しておいてから作業にかかります。

 到着が14時位でしたので、90分ほど作業をして、夕闇が迫り始めるころに草の湯を後にしました。その間に置いたザックには積雪が2センチほど。次第に荒れてきてアラレの吹雪と雷も混じります。
 ↑ 吹雪の時にはストロボを点灯すると近くを舞う雪ツブを写し込むことが出来ます。上の写真は下流の智恵の沢方向を見たところです。



 それでもこんな雪だらけの中に、自然に暖かいお湯が湧き出ている場所があるという、不思議とやすらぎ。 「Hot Spring」(=温泉)という名称を付けてくれた人の感性に共感します。

そして翌週です。
 2009.11.20 再び草の湯に向かいます。この5日間で、降雪の日が2回ありました。車道は前回のところまで通行可能でしょうか。
 上の写真は盛岡市内、南大橋からの岩手山です。標高が2038mありますが、かなりふもとまで白くなっています。
 右上は西根インター入り口からの同山、右は松尾八幡平インター付近からの同山です。
 安比リゾートを過ぎて兄川牧場に向かう途中で、先週も立ち寄った「ぶなの駅」に行ってみます。やはり冬季閉鎖になっていて、入り口の外階段はさらにその外側に雪囲いがしてあります。
 ROで夏は小さな池塘が平らな雪面になっているところです。

 
 枯れ草の草原だったところは全て雪に覆われてしまいました。 
 気を取り直して草の湯に向かいます・・・

 一年ぶりの雪道に緊張しながら車を進めます。山間の雪道でこわいのは、横ぶれです。前後に進めなくなるのはまだよいのですが、左右にずれると、側溝にはまって腹がつかえたり、ガードレールに接触して車体を傷めます。
 誰かが通った跡があります。上り坂ですのである程度勢いをつけて行きたいのですが、4輪とも雪をかきむしりながらの前進で、抵抗も大きく、横ズレが進んで右のガードレールが近づいてきました。慎重に進めたところ、車輪が空転をして前進できなくなりました。通常でしたら上り坂ですのでバックが可能です。しかしこれも4輪空周りという反応です。
 山の中に一人。助けてくれそうな人は近くにはいません。深呼吸をして音楽を止め、ゴム長靴に履き替えます。後部荷室からスコップを出して、スタック対応の基本である、脱出方向の抵抗になりそうなものを除去します。スノーヘルパーを出すまでも無く、後退が可能になりました。
 市道からの分岐点に着きました。林道の入り口で既に30cm近い積雪があります。
 道筋は5日前に来たばかりですので覚えています。砂利道ですので舗装路よりはスリップが少ないのと、新雪で抵抗が少ないため、ナンバープレートで押しのけるくらいでも進むことは可能です。キャンカーは重量がありますので、4駆であれば、浮き上がって滑ることなく限界は高いようです。
 分岐から400mほど進んだところで登り勾配が大きくなってきました。惰性で突っ込むことは、雪に乗り上げて腹が支え、後退が出来なくなる恐れがありますので、グリップ走行が基本です。
 2〜3回リトライしましたが、ここが限界と判断しました。転回場所を慎重に選定し、切り返しによる圧雪抵抗の増大で前後どちらにも進めなくならないように注意して戻ってきました。
 もし草の湯に向かうのであれば徒歩ということになります。

 こうまでして草の湯を今回目指すのは、21日の取材のお手伝い(道案内及び出演)をするためです。
 例年ですとこの区間は12月中旬までは通行可能との地元道路担当者のお話でしたが、今年は安比高原スキー場は開業以来の早いプレオープン(11/22)するくらい早い大量の積雪があり、アプローチは非常に厳しいものとなりました。


(後日記入〜この後降雪は少なく気温も高めで、スキー場の本格オープンは遅れてしまいました)
 この時点では片道8kmを歩いて草の湯を目指す方向で相談を進めました。
 しかし翌日朝(取材予定当日)にさらに積雪があり、東北自動車道は通行止めになりました。
 分岐点までも車での到達は不可能となり、結局今年(H21)はもう冬山重装備で複数日を使用して臨まなければ草の湯到達は出来ない状態になってしまったようです。

 当日の様子はまた別項(安比温泉の項)で報告予定です。
 

★ここからは 2009.11.15 の行動時に記録した動画です。
歩行開始時点で雪が少し降っていましたので、HDVビデオカメラの持参は断念しました。代わりにいつも使っている、防水機能のあるデジカメ(PENTAX W60)の動画機能で記録をしました。スペックは下がってしまって、幅1280で、1秒間に15フレーム(普通は30フレーム)です。
動画@ 小さな沢を渡ります。
動画A 草の湯湿原 
動画B 草の湯全景
 左側の黄色がかった所を仮に第一とします。黒い岩の陰に第二、右下に第三の湯船があります。第一は沢の本流に近く、その冷たい流れが混じってしまうため、多分そのフミン質が混入してこのような色になっていると思われます。混じらないように上流の沢水流入口の辺りに土砂を積んで沸き出口のお湯だけが湯船に入るようにします。
 また、大雨の時に土砂も流入して浅くなっていたので浚渫も行いました。

動画C 第三(最下段の湯船)その1

動画D 第三(最下段の湯船)その2

動画E 第三(最下段)の湯船の温度を測ってみます。

動画F 第二の湯船 のようすです